3月21日 練習試合(河西学園高校)
今日もベンチから練習試合を見守っていた。今日の対戦相手は、河西学園高校だった。次の回に代打を告げられていたこともあり、俺はバッティング手袋をつけていた。これが俺の現在地。悔しさを滲ませながら、試合を見ていた。試合は、6回を終わって、1対5と4点リードされている状態だった。大きな声とともに、守っていた聖徳高校の選手たちが戻ってきた。
7回裏は、7番小川から。俺は、8番の安田ところで代打みたいだ。ヘルメットを被り、バットを持ってネクストバッターサークルに入った。試合に出られるというのに全く嬉しさを感じない。それは、俺だけなのか?それとも、、、。ネクストから見た感じ、ピッチャーは大したことなさそうだ。いける。いろんな感情を抱きながら、バットを1回、2回とスイングしていく。小川は、初球から積極的に振っていくタイプ。すぐに回ってきてもおかしくない。
野球しているといろんな感情が出てくるからあまり好きじゃない。くそぉ、腹がたつ。小川からは、まったく金属音が聞こえず、打席が回ってきたみたいだ。俺は、打席へとゆっくり歩いていく。打てよー!!聖徳高校の陵の声が大きく聞こえてきた。初球、ストレート。もう、それしか狙っていないかった。後は、そのボールをどれだけスムーズに打てるか。それだけだった。ピッチャーは、セットポジションから足を上げ、投げこんできた。
ストレートだ。こんなに狙ったボールがスムーズにくると嬉しいもんだ。俺が振り抜いたバットとボールが当たり大きな金属音が鳴り響いた。ベンチからも大きな声で俺を後押ししてくれる。打球は、左中間を抜けていく。打球は、グングン伸びていく。あわや、ホームランかという打球。ネットに当たり、ボールは止まってしまう。俺は、俊足を飛ばし走っていく。これなら、いけるかも。どうせだったら、、、。どうせ試合に出られないんだ。だったら、もっと攻めるしかない。やや、暴走気味だとはわかっていたが、二塁を蹴った。レフトは打球に追いつき、ショートに送球する。アウトになる。なんとなく、それは理解できた。けど、これが俺の生き方だ。ショートの素早い送球に俺は何もできなかった。ちょうどスライディングをしたところに、サードのグラブが届いたのだった。一塁側ベンチには、意気消沈したみたいだ。そして、監督は怒っていた。これは、大変だ。監督の気持ちは、容易に理解できた。二塁に止まっていれば、絶好のチャンスだったのだから。