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日常で世界を変える(早川編)  作者: mei


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5月16日 結果

 もう、随分暗くなった。素振りをし始めてから約1時間が経過した。明日の試合。これまでの大会よりも数倍緊張する試合になるだろう。今では、奏太に言わなければよかったと後悔しているくらいだ。木製のバットに重りをつけながらスイングをする。周囲は、誰もおらず静寂さが漂い、自分のバットを下に置いた時、アスファルトに当たる音だけが聞こえた。俺は、木製のバットを一度離して、空を見つめる。いつもであれば、奏太が一緒に来て、バットを振ることが多いが、今日はまだ学校から帰ってきていなかった。

 俺は、ゆっくり深呼吸をし、再びバットを握った。心を落ち着け、スイングを始めた。長い一日の終わりを告げる素振り。これまで小学4年生から続けていたものも、もうすぐ終わる。そう考えると、疲れた身体でもスイングすることができた。素振りが終われば、風呂に入りリフレッシュさせるのが日課だった。中学生までは、自分のフォームを確認しながらバットを振ることが多かったが、高校に入ってからその考えは変わった。佐伯や安田の様に、バッティングフォームが変わっていても結果が全てであることが認識したからだ。

 だったら俺もバッティングフォームにこだわることよりも、結果にこだわることが大事だと考えた。特に、5月1日に行われた江陵高校で放ったホームランの感触がとてもよかった。真ん中低めにきたボールをセンターバックスクリーンに運んだ打席だった。これまでだったら、センターフライになることが多かった打球だったがこの冬を超えて、俺も力がついたと思えた瞬間だ。あの打席を振り返ってみて思う。ただ、ヒットを狙いにいくような当てにいく打席より、強く振る打席を増やした方がいいんじゃないかと。それを監督が望んでいるかはわからない。でも、そっちの方が後悔しないと思った。強く振ることは、素振りの時から意識していなければ試合でもできない。

 俺は、足を一歩前に出し、平行になった。足をしっかり地面につけバットを構えた。頭の中には、江陵高校戦で投げたピッチャーが。セットポジションに入り、大きく左足をあげる。そして、勢いよく、ボールが投げ込まれる。頭の中で数を数えた。「1、2の3」。3の声とともにバットを振り出した。自然に動き出した体についてくるようにバットが出た。あの時は、綺麗にセンター方向へと打球が飛んでいったが明日の試合ではどうなるだろうか?俺は、不安をかき消すようにバットを振り続けた。

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