5月13日 鍵Ⅷ
苦しいな。小雨が降る中、俺は息を切らしていた。本来ならグラウンドでバッティング練習をしているはずなのに。雨でで、グラウンドが使えない状況だった。今日のメニューは、坂道ダッシュ15本に筋トレ。何とも盛り上がらない練習メニューだ。いつもは元気な野球部だったが今日ばかりは、そうはいかないようだ。山里や佐伯は眉間にしわをよせ坂を降りていくのがわかる。ダッシュの序盤はみんな声を出しているのに、徐々に声が出なくなっていた。俺たちが走るグループは、悠太と永谷の3人。
徐々に元気がなくなった俺たちを見計らってか、川中と八幡がゲキを飛ばす。3年たちはそれに呼応するように返事をするが、1年たちはついてこれない。これが3年と1年の差か。1年の時、頑張っていてよかったとなんとなく思ってしまう自分がいた。
悠太「この後、何すんだ?」
俺 「ウエイトじゃねぇの?」
悠太「そうなんだ」
すぐに受け入れた。悠太にとって、ウエイトはそんなにしんどくないみたいだ。
俺 「ダッシュ後何本?」
悠太「後、7本じゃね」
俺 「半分かぁ」
悠太「さっさと終わらせようぜ」
俺 「そうだな」
俺たちは再び走り出した。
ー5月6日ー
俺 「なんか入ってないか?」
悠太「なんだこれ?」
ロッカーの中には何か封筒のようなものが入っていた。
俺 「これって勝手に開けていいのか?」
悠太「いいだろ。もし、大事なものなら後から見せればいいし」
悠太としては、これは誰かに宛てたものではないと考えた見解の様だった。
悠太「貸してくれ」
俺 「ああ」
悠太の言われるがまま封筒を渡した。封筒は、普通の紙だけではなく何かが入っている。
悠太「なんだこれ?」
俺 「、、、、、」
一つは手紙、もう一つはボールだった。
悠太「なんだこのボール?」
俺 「さぁ?」
遠山のことだから、このボールにも何か意味があるんじゃないかと思ってしまった。
悠太「このボールなぁ、、、、、」
俺 「俺も何の意味があるかはわからなかった」
悠太「意味なんてねぇんじゃないの?」
俺 「何となく入れたってことか?」
悠太「ああ」
アイツがそんなことするかなぁ?俺はもう一つの手紙に目をやった。コンビニで買った便箋のようだった。ざっと見ただけで10行以上書いてある。なんで手紙をここにしまったのか俺にはわからなかった。




