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5月7日 鍵Ⅱ

 俺は、久しぶりにゆっくり休憩した。朝から、ずっとベットに入って体を休ませていた。そんな中、弟はまたバットを振っていたのだ。


 ー5月6日ー


 俺と悠太は、自転車で学校を目指していた。柔らかな光が俺の目に入ってきた。俺たちが通っていた

静かな通学路には、俺と悠太の二人しか自転車を走っていなかった。すると、悠太は何やら川中のモノマネをしている声が聞こえてきた。正直、俺と悠太は一列になって自転車を漕いでいるので、どんな表情かは見えない。どうやら、川中のミーティングでの話し方をしている。真面目にモノマネをする悠太の声を聞いていると、なんだか口が緩んでいく。俺の笑い声が、誰もいない道路の静けさをやぶっていた。

 俺は、自転車のハンドルをしっかり握らないとこけそうになっていた。まさか、GWにこんなことをしているとはな。想像もつかなかった。昨年は、ずっと野球の練習をしていた気がする。あの頃は、まだレギュラーも決まっておらず、自分にも期待する部分はあった。でも、今は完全に控え。自分に期待するモノもほとんどなかった。途中で何度もやめそうになったけど、家ではいつもお父さんと弟がいたから、簡単に辞めるという選択肢はとれなかった。過去の栄光にぶらさがることもできない高校の部活動はなんとも惨めなものだった。

 俺は、悠太の後ろをついていくように自転車を漕いでいく。少しずつ小道に入っていく。この道は、自転車をこぐことすら窮屈だ。小道の横には、時折、色とりどりの花々が咲いている。こりゃあ、綺麗だな。前を行く悠太は、そんなことも考えずに進んでいた。「もし、学校に空いてなかったらどするんだよ?」。悠太の声の方から聞こえる。まぁ、そうだよな。もし、これで入らなかったら完全に行き損だよな。

 だったら、「バッティングセンター行くしかねぇだろ?」。俺は、後ろから大きな声で叫ぶ。信号で止まった俺たちは、ようやく横に並んだ。微笑みながら"また野球かよ"と呟く声が聞こえたのだった。信号の変化とともに再び自転車を漕ぎ出した。学校までもう少しだ。どうなんだろう?空いてるのか?おそらく、学校に着くのは15時過ぎくらいだろう。この時間帯で部活動はおそらくほとんどしていない。そうなると、もう教師がいることに賭けるしかなかった。

 「負けた方が奢りな?」。悠太は猛スピードで漕ぎ始めた。完全にスタートダッシュに遅れた俺は、力強くペダルを踏み込んだ。

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