表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/75

5月4日 モヤモヤ

 休みだけど休みじゃない。おそらく、俺はコイツから離れない限り、本当の休みはこないだろうと思っていた。弟に見つかるとめんどくさいから、俺は自分の部屋から、お父さんと奏太の様子を見守っていた。ありがたい。これまでずっと野球をやらせてもらっていて。今までは、ただしていたっていう感じだけど、それが当たり前にできることは恵まれているんだということを改めて再認識させられた。

 俺がそう思ったのは、若林に篠木の話を聞かされてから。篠木の家は、父親だけらしい。弟二人がいるというのは前から聞いていたけど、家計も余裕はなく、大学進学を断念したという噂を聞いたのだ。本当かどうかは知らないけど、俺はこの恵まれた環境に甘えすぎてるんじゃないのか?俺の家は、お父さんとお母さんが働いたお金で購入した。俺と奏太が野球をできるようにとベランダにネットやキャッチボールまでやれるスペースを作ってくれたのだ。

 本来は嬉しいはずなのに、いつしかそれがしなければならないに変わっていた。そう思うと、なかなかモチベーションが上がらなかった。お母さんも教育熱心だから、何を言っても難しいところはある。けど、このまま終わるのもなんか嫌。俺は、そんな葛藤をかかえながら、奏太を見ていた。俺たち家族の最大の問題点は、今年度が二人とも新しく進路を決めなければならないということ。中でも、奏太がどこの高校に行くかによって俺にも大きな影響がでるのだ。

 俺としは、聖徳ではなくスカウトがきている道和高校か純新学園高校のどちらかにいけばいいと思う。そこでレギュラーを必ずとれるかはわからないけど、今の実力ならとれる。俺と同じ道には、たどって欲しくないな。奏太の野球は、6月には終わるから、夏の大会には見に行けると言っていた。来られても困るんだけどな。内心そう思いながら、奏太の話を聞いていた。10日から始まる全国大会。勝ち進めば、全部で6試合程度。どうなるかはわからないけど、チームの中心選手である奏太が活躍しないと勝利はないとお父さんは言っていた。

 相当なプレッシャーの中、アイツがどうするのかは、この目できちんと見なければならない。当日は、悠太と一緒に試合観戦する予定だ。俺の人生は、案外コイツにかかってるのかもしれないとなんとなく思った。弟にかかってしまうような人生は、やっぱり無様であると再認識する。このモヤモヤした気持ちを今すぐはらいたいのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ