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5月2日 対戦

 なんか定本の様子が変。俺は、そう感じてしまっていた。いつもの定本なら、もっと元気よく練習しているのに。今日ばかりはそういう風には見えなかった。


 ー5月1日ー


 待ちに待ったコイツらとの戦い。しかし、肝心の二人は1試合目に出ることはなかった。河南ボーイズでエースだった森は、ブルペンでピッチング練習をしている。せっかく対戦を楽しみにしてたのに。監督は、2戦目で俺を使ってくれるのだろうか?おそらく、森は2試合目に投げてくる。実質エースは今日の試合すら投げないんだろう。俺たちみたいな弱小校に投げても仕方がない。同じく河南ボーイズの福川は陰すら見えない。どこで何をしているのだろうか?

 俺は、1試合目は、チーム唯一の得点をホームランで飾った。昨日から、やはり調子がいい。しかし、それ以外と打席の内容はあまりよくなく4打数1安打という結果。ホームランを打ったものの満足いく結果ではない。この試合は、橘、八幡、竹田の3人が投げたが、全員が点を取られてしまう結果に。監督は、キャッチャーの橋本とピッチャーの配球ミスについて指摘する。そして、バッターの三振の多さに対しても怒っていた。俺も、4打席のうち2打席は三振してしまっていて責任は感じていた。

 1対11の結果にチームのムードは下がっていた。この試合は、セカンドの定本とレフトの遠山がレギュラーから外されている。定本は怪我だから理解できるが、遠山は理解できない。遠山は、新チームになってから頭角を表し、秋の大会では、主に5番レフトで出場していた。春の大会まではレギュラーだったのにここ最近はレギュラー扱いをされているようには感じない。しかし、当の本人は気にしていない様子で永谷たちと今日もふざけ合っていた。

 試合に出ていないのになんで、こんなにふざけることができるのか俺にはわからない。そんなことを考えていると2試合目のバッテリーが監督から告げられた。バッテリーは葛西と向井。昨日から乱調が続いている投手陣をなんとか立て直しをはかろうとしていた。俺は、ベンチに座りながら、向こうの方を見つめる。俺の見つめる方には、昔から眺めていたピッチングフォームがあった。懐かしいな。森は、昔のような笑顔はない。昔は、常に笑顔でボールを投げているピッチャーだったが、今日は、危機迫る表情を見せている。2試合目に出る悠太は、既に弁当を食べている頃だろう。森と対戦できるなんて羨ましかった。

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