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4月29日 悲劇

 定本と山里が部室に入ってくると、さっきまでよりもさらに盛り上がりを見せた。エースの橘にキャッチャーの橋本。そして、ショートの八幡やレフトの遠山が大きな声ではしゃいでいた。今は、この前の試合のモノマネをしているようだ。

 部室から見るアイツらの景色は、そんなに悪くない。ただ、俺はその輪の中に入っていけないというだけだっまた。そういう意味では、杉原と同じなのかもしれない。自分が入りたいのか入りたくないのか。それすらわからない。そんな自分が嫌だったし嫌いだった。まだ、俺が河南ボーイズにいた頃は、群れなくても、みんな野球が上手くなりたいという気持ちが溢れかえっていた。

 ただ、聖徳野球部は違う。本気で野球が上手くなりたいと思う奴なんていない。不器用な俺は、野球でみんなとつながれなかったのが上手く溶け込めなかった本当の理由かもしれないと思っていた。当時1年生から注目を集めていた俺は、橋本や川中とともに注目を浴びる存在だった。3年生との紅白戦の日、当時投げていた山片さんからホームランを打ったことでさらに有名になる。

 しかし、ここからが悲劇の始まりだった。ホームランを打った次の日、まさか先輩から呼び出しをくらってしまったのだ。俺は、昔も今も変わらないこの態度。3年の副キャプテンだった八坂から目をつけられてしまったのだ。別に殴られたとかいじめとかではないけど、かなり厳しく注意されたこともあり、同級生だった奴もだんだんよりつかなくなってしまったのだ。そこからは怪我をしてベンチ入りはおろか、試合すら出れない日々が続いていくのだ。

 これから練習が始まるというのにまったくそんな感じがしない。いいのか悪いのか。まだ、みんな部室にいてグラウンドにすら行こうとしていなかった。こんなんで夏の大会に勝てる気がしない。俺は、そんなことすら思ってしまう。夏が終わった時、俺はどう思うのか最近気になっていた。あぁ、楽しかったなって思うのか?悔しかったなって思うのか?何も思わないのが一番怖い。結局、この3年間何もなかったのと一緒だからな。そんなことを考えてると、さっき来たはずの定本が一番手にグラウンドへと出ていく。それに続くように、橘たちも動き始めた。今は、何が正解かわからないというのが本音。全ての答えは終わった時にわかるんだと思う。大学で野球を続けることを考えてない俺は、このチームに何かを託したい気持ちでいっぱいになっていた。

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