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3月18日 退部

 俺は、永谷が投げるボールを素直にライト、センター、レフトへと打ち返していた。なんで、俺は、こんなことをしているのだろうか?フォロースルーをしながら打球の行方を見守った。バットの芯をくった打球は、ソフトボール部が練習しているライト方向へ。ライトには、外野の安田、小川の2年生コンビが守っていた。もう少しで抜けそうな打球を安田がグローブにおさめた。相変わらず、上手いな。バッティングをしながら思った。

 ゆっくりといつもの構えに戻った。再び、マウンドから永谷が緩いボールを投げてきた。今度は、レフトへと流し打ちをした。バッティングは、"天気のようなものだ"と。中学校のクラブチームの時に言われていた言葉を思い出した。なぜ、天気なのか?もっと他にいい例えがあるだろ?とあの頃は思ったが、今となればなぜ、そう言ったのかなんとなくわかる気がしたのだった。

 最近は、バッティング練習ですらテキトウになってしまう自分がいた。怪我をしてから、もう野球に興味がなくなってしまったが、なかなか辞められず今日まできていたのだ。いつでも辞めるチャンスはたくさんあった。俺と同じようにベンチにいた仲のいい永谷や同じクラスでサッカーの練習にいかない工藤とかにも話を聞いた。けど、二人とも部活を辞めるという選択肢はもっていなかった。俺は、コイツらとも違うのか?そう思ってしまった。じゃあ、自分のことを誰だったらわかってくれるのだろうか?

 そう考えると1日1日が経ってしまっていた。自分の本音とはいえ、なかなかみんなに打ち明けることはできなかった。家族は、小学校から応援してもらっていてたくさん支えてもらった。小学校の時は、県大会MVP。中学校の時は全国大会出場。それなりに、親も期待してくれていたはず。周りの友だちからは、もう過去の人。そういう認識だ。ピッチャーができなくなり、内野に周り、最終的に代打に回るというなんともいえない虚しさがあった。

 自分で言うのもなんだが、もう一回ゼロからのスタートであれば、橘や橋本にも負けないはず。それなのに、、、、。溢れんばかりの想いとは対照的なのがチームの状況だった。春季大会も終わり、他の部員たちは、新たな目標を探すのに苦労していた。直近で言えば、5月の"聖淮戦"。しかし、到底、それまで待てない。エースの橘、キャッチャーの橋本中心にモチベーションが下がっていた。

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