4月17日 後悔
悠太「どうだランニングは?」
俺 「しんどいだろうが」
息遣いは、大きく乱れていた。それもそう。外されたストレスをランニングにぶつけながら走っていたのだ。
悠太「自分を恨むしかないな」
俺 「俺に後悔はない」
たしかに外されたのは嫌だけど、あの日の選択を後悔したくない。迷った結果、俺は打ったんだ。だったら、あれが正しかったことを証明したい。
悠太「強気だな、相変わらず」
俺 「仕方ないよ。あそこで打てたことが自信だよ」
自分に言い聞かせるように話をしていた。
悠太「じゃあ、怪我だけするなよ」
俺 「そうだな。今日は、何の練習なんだ?」
悠太は、スパイクとグローブを持ちながら話をしていた。
悠太「今日は、シートバッティングだ」
俺 「シートバッティングかぁ。楽しそうだな」
より実践的な練習は楽しいし、おもしろい。おそらく、みんなもやりたがる練習の一つだろうな。
悠太「お前のせいで、今日俺は内野守らされるんだからな」
俺 「そうなの?」
悠太「ああ」
まさかだった。俺の次は、悠太か。もう、なんでもありなんだ。それだけ、危機感を内野陣に与えたいんだな。
俺 「どこ守るの?」
悠太「今日は、ファースト」
ファーストは川中や橘がいるから激戦区だな。
俺 「お前、ファーストって感じじゃないよな」
悠太「それそれ」
悠太もそれは理解しているようだ。身長も低いから、サードやショートは投げづらい。
俺 「俺も早く戻りたい。いい方法ないかな?」
悠太「ないだろ。戻れるなら、あんなに怒らないだろ」
俺 「ハハハハハ。そりゃあ、そうだな」
悠太の言う通りだ。けど、こんなところでは終わらないのは変われない。
悠太「お前より、怒られるやつが出たら変わるかもな」
俺 「怒られるやつかぁ。橘とか健太郎とかかな?」
パッと思いついたのがその二人だった。
悠太「アイツらならありえそうだな」
俺 「だろ?」
自分のことをおいといて、よく人のことが言える。言いながら、自分でそう思ってしまう。
悠太「あと2ヶ月くらいで"聖淮戦"だしな」
俺 「そうだな。俺もそろそろ出たいな」
当たり前だけど、先輩がいた時はベンチすら出れなかった。
悠太「一度も出ず、卒業はやだな」
俺 「たしかに」
すると、急に悠太が向こうへと走り出した。どうやら、奥から監督が出てきたようだった。




