表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/75

4月16日 サイン

 ここで打てば、3打数3安打かぁ。外山高校のピッチャー松山は、ゆっくりとセットポジションに入った。今日は、2番サードのスタメンだった。納得がいかないのは、2番という打順。山里がヒットを打つから、俺はバントやつなぎのバッティングをさせられる。山里は、4打数3安打と当たっていた。この打席は、初めてランナーなしでの打席となった。ここは、フルスイングする。そう決めていた。

 第一打席がバント、第二打席がヒットエンドランでライト前ヒット、第三打席はバントヒット。どの打席も満足とは程遠い。この打席こそ。監督は真剣なる眼差しで俺の方を見てきた。ゆっくりと手を動かし始めた。キーは、帽子。帽子の次を見ればわかるけど、ツーアウトランナーなしでサインなんてない。打つしかないのだ。腕、耳、ベルト、帽子、鼻。帽子の後が、鼻だから、、、、、、、、、、、、、、、、、、。は?え?よくわからない。自分でも理解できなかった。俺は、ヘルメットを取り外し、もう一度サインを出してほしい合図を送った。

 監督は、もう一度サインを出し始めた。きっと何かのミスだろう。耳、ベルト、腕、帽子、鼻、耳。まさかだった。俺は、間違えてなかった。大きくため息をついた。なんでだ?コイツ意味がわからない。鼻は、バントのサインだった。ツーアウトランナーなしから、セフティーバントって意味がわからない。公式戦ならまだしも、たかが練習試合で。納得できない。なんでわざわざ。サイン交換を終えたピッチャーは、振りかぶった。サードは、後ろに守っている。もし、ここでサード側にバントをすれば、決まるかもしれない。脳裏にいろんなことを考えていると、すでに第1球目がきた。

 俺が好きな真ん中高めだ。もしバントをしたら?そんなことをするなんて自分のプライドが許せなかった。大きな金属音とともに、打球は、レフトの頭上を越えていく。少し打球を見つめてから、慌てて、走り出した。ベンチのみんなからは、大きな声が聞こえていた。レフトはボールに追いつきショートに返す。しかし、俺は、悠々と二塁へ到達したのだった。橘や悠太から大きな声が聞こえる。しかし、俺は、それどころではなかった。目線の先に彼らはいなかった。監督は、ベンチの誰かに向かって声を出している。そして、審判の方に歩き出した。二塁ベース上で、二度目のため息をついてしまった。どうなるかはわかっていたけどそれでもだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ