4月14日 ダサい
ユニフォームから制服に着替え終えた俺は、悠太が着替えるのを待っていた。今日のバッティング練習がとてもよかった俺は手応えを感じていた。
俺 「悠太、次の練習試合で打てそうだわ」
悠太「なんで?」
自信はあった。ここ最近、ボールもよく見えてるし、いいバッティングができていた。
俺 「最近、調子よくてさ」
悠太「そりゃあ、いいな」
奏太とバッティングしてたら、より自分のフォームの変化に気付けるようになっていた。
俺 「まぁ、試合に出れるかが先だけどな」
悠太「ハハハハ。たしかにな」
俺 「侑大、安田、小川がいるしな」
悠太「鉄壁だからな」
鉄壁だからこそ、やりがいがある。
俺 「でも、俺が出た方がチームは勝てる。それだけだろ」
悠太「その意気だな」
俺 「ああ」
俺は、話をしながらボールを触っていた。
悠太「そう言えば、弟大会だったんじゃないの?」
俺 「ああ。3打数3安打、3打点だって」
悠太「相変わらず、すげぇなー」
俺 「みたいだな」
俺は、試合を見てないから、わからないけど奏太のチームが5対1で1回戦を突破したことを聞いた。
悠太「相変わらず凄いな」
俺 「俺は、わかんねぇけどな」
悠太「監督もお前の弟に来てほしいんじゃねぇの?」
その通りだ。俺を使えば、弟が来てくれるのに。あの監督は、ダメだ。
俺 「だったら、俺をレギュラーに使えってな」
悠太「それな」
俺 「悠太から、言っとけ」
笑いながら悠太は、ユニフォームを脱ぎ終えた。
悠太「まぁ、俺らが出る頃には、監督も負けを認めてるんだろうな」
俺 「ハハハハ。それは、ダメだろ」
でも、いつかは俺たちの代も終わる。それだったら、早く次の代にというのはわかる。
悠太「よし、片付けれた」
俺 「じゃあ、そろそろ行くか」
悠太「そうだな」
俺たちは、部室から出て一緒に歩き出した。
俺 「今日、塾か?」
悠太「そうだ」
俺 「大変そうだな」
奏太に進路があるように、俺らにも進路がある。大学も就職もいろいろあるだろう。
悠太「俺たちも最後までチャンスがあればいいな」
俺 「そうだな。すぐ受験勉強はしたくないからな」
レギュラーになれないからといって、すぐ勉強に打ちこむのはダサすぎる。なんとしてでも、それだけは避けたかった。




