4月12日 アドバイス
俺は、バットを持ちながら素振りをしていた。別に、野球の熱があるわけじゃないけど中学校から続けていたから簡単にやめることができなかった。ただ、それだけだ。そう自分に言い聞かせていた。けど、必死にそう思うようにしているだけなのかもしれない。そう考えると、自分が無性に嫌いになってしまう。まだ、必死にやっているんだ、自分って。レギュラーとれないなら、さっさと諦めたらいいのに。それがわかっていてできないのかもしれない。バットを置いて、スマホ画面のゲームを触り始めた。すると、前の方からタブレットをもった弟がきたのがわかった。
奏太「お兄ちゃん、バッティング見て」
俺 「えっ、俺はいいよ」
奏太は、こうして毎日俺に野球の指導を求めてくる。正直、俺は聖徳高校でも控えだし、お前にアドバイスをするほど上手くない。
奏太「いや、お兄ちゃんの方がいいから」
俺 「お父さんに聞けよ」
俺のお父さんは、野球に対して情熱を注いでいる。中学校の頃に全国大会に出ていた俺を、本当は高校でもチームの中心選手として考えていたに違いない。それが、この様だ。そりゃあ、弟にも指導したくなるのもわかる。
奏太「お父さんうるさいから嫌」
俺 「ハハハハ。お前も言うようになったな」
奏太もそう思うようになってきたんだと思うと、我が弟の成長を感じてしまう。
奏太「そう?お兄ちゃんもそう思うだろう?」
俺 「まぁな」
弟の奏太。彼は、俺の3つ下の中学3年生。中学校の部活動には入らず、俺が中学校の時に入っていたボーイズリーグに入っていた。現在は、3番ショートを守っているらしい。
奏太「明日からの大会、勝ちたいからな」
俺 「わかったよ」
奏太は、現時点で3つほど高校から誘いを受けていることを聞いていた。本人は、俺がいる聖徳高校、道和高校、純新学園高校の3つで迷っていることを聞いた。道和高校と純新学園高校は、野球が強いから理解できるけど、俺がいる聖徳高校は理解できなかった。
奏太「よっしゃ」
俺 「見して」
奏太「これ」
奏太から動画の打撃をタブレットで眺めた。中学生にしては凄い飛距離を飛ばしている。俺は、タブレットに映る動画を再生と停止ボタンを繰り返し押しながら、本人の修正箇所を探し始めた。ここだ、俺は停止ボタンを押し、奏太に説明し疑問になったことを聞いた。




