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4月10日 ベースランニング(山里侑大)

 自転車で帰るこの道も、あと1年だと思うと、どこか感慨深いものがあった。来る日も来る日も、野球の成績のことを考えながら、ここを登下校しており、それが続くと思うと憂鬱な気分になるけど、なければないでそれは寂しいのだろう。


 ー4月4日ー


 "もうちょいですー!!"。後輩たちの大声のもと、橘が帰って来ようとしていた。最終ランナーである侑大が走り出す準備をする。一歩から全力疾走のように感じた。おそらく、ここまで俺たちは、どこのチームも同じくらいのの順位のようだった。最後は、この一周で決まる。ここで、誰よりも速く走ったやつの勝ちだ。侑大は、三塁ベースを蹴る。最後の一周ということもあり、みんな大きな声を出す。

 先に走り終えた後輩たち、小山、古山、西川たちは、もうベースの近くまで来ている。先ほど走り終えた橘もなんとか起き上がり、侑大の様子を確認しようとしていた。もう、ここまできたら、あとはあのプレートにあるボールを一番先に取ったものの勝ちだ。今、他のチームは、永谷、八幡、安田と俊足揃いだった。その中で、一位になるのは簡単ではなかった。永谷は、短距離走であればチームイチ。八幡は、長距離走でチームイチ。安田は、チームダントツの到来数。それぞれの持ち味があった。

 じゃあ、お前はどうする?侑大?心の中で問いかけた。侑大は、同じ外野手争いをしていたが、まったく嫌味の感じない奴だった。コイツと一緒にいる健太郎もそうだ。ただただ愚直に練習をこなし、試合に備える。そんな奴らとはどこか気があった。普段は、橋本や八幡といった俺の気が合わない奴らといるからあまり話さないけど、もしアイツらがいなければもっと打ち解けていたのかもしれないな。コイや健太郎が入部したての頃は、全然力がなかったが、ここ1年でメキメキと頭角を表してきていた。特に、侑大のバッティングはよかった。決してパワーはないが広角にヒットを打つことができる。バットコントロールは、橋本と同じくらいに上手い。守備や走塁も平均より上。それに、チーム随一のイジられキャラもウケている。

 そりゃか、侑大はこのチームにいなくてはならない選手だった。それは、俺から見てもわかる。橋本や八幡など野球の実力も大切だが、コイツはみんなから愛される野球以外の力が凄かったのたわ。ホームベースを周り、残り半周となった。もっとベースに速く着くのは誰なのだろうか?

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