4月5日 ベースランニング(山田悠太)
久しぶりの休みで俺は、まだ起きれなかった。もう、11時を過ぎていた。そろそろ起きないとヤバいな。いつものように坊主頭を触りながら、ゆっくり起き上がった。今イチ目が覚めていないことはわかる。お母さんとお父さんは何をしているのか。扉を開け、リビングに向かうことにした。
ー4月3日ー
もうすぐ、悠太が返ってくる。どうやら、今はいい位置にいるみたいだ。2塁から全力疾走でスタートを切った悠太は、落ち着いて走っていた。彼は、もともと野球が好きじゃなかった。サッカーと野球を小学校までしていた悠太だったが、したくない野球を親の強い希望でやらされたことを聞いていた。サッカーは、沢田や宝来にも認められるくらい上手だったらしいが、させてもらえなかったとか。昔のことをあまり話したがらない悠太に質問をするのは禁句だった。悠太は、自分の世界をきちんともっているから、他の人から絡まれることは少ない。だからか、いつも俺の近くにいるのだった。そんな悠太のことは嫌いではなかった。誰ともつるまない俺の思考に共感してくれたようで嬉しかった。
悠太は、今どういうモチベーションで練習しているのだろうか?正直、今から、悠太がレギュラーになる可能性はほとんどない。やる気もないし、レギュラーもとれない。なんのために、練習してるのかそれすらわからなかった。頑張っても意味ないことは頑張らないのが悠太。なのに、なんで頑張ってるのか。悠太らしくない。いつか辞めた後に、俺も聞いてみたいと思っていた。
俺が見ていないうちに、悠太は、すでに一塁まで向かっていた。もうそろそろしたら、こっちまで帰ってくる。次の走者は、2年の小山だった。一塁を蹴った悠太は、土を蹴り上げて全速疾走を続けていた。もうちょいやぞ!!走れ、悠太ー!!俺の声に続くように侑大、橘も大きな声を出していた。あっ、、、、。悠太はスライディングする気がした。みんなにどくように俺は指示を出した。小山にボールを手渡し、そのままセカンドベースに向かって滑り込んだ。見事な盗塁だった。小山は、徐々にベンチから遠ざかっていく。俺たちは、二塁ベースから走り出した小山に向かって大歓声を響かせた。スライディングをしたところから起き上がった悠太に駆け寄り、手を差し出した。ナイスラン!!。"あざっす"。起き上がった悠太のもとには、チームメイトである橘たちのの拍手とハグで迎えられたのだった。




