4月4日 ベースランニング(早川直人)
昨日のベースランニングは、思った以上に体にきていた。あんなに頑張らなくてもよかったかな?でも、思った以上にみんな真剣だった。もっと、ふざけるかと思ったけど。まったくそんなことなかった。俺は、ゆっくりと体を起こしてリビングに向かうのだった。
ー4月3日ー
監督の合図とともに、俺は走り出した。勢いよく走り出し3塁ベースから走り出した飯田の背中を追っていく。夕暮れのグラウンドに、4人の走者が疾走していているのは見ていて面白いんじゃないかと勝手に想像してしていた。3塁ベースを周りホームベースを目指す。思ったより1周が長く感じる。前の走者である飯田との距離が少しずつ縮まっていく気がする。ホームベースを回った。残り半周だ。
俺の次に走る悠太に少しでもいい位置で渡したかった。だんだん一塁ベースが近くなってきた。練習終わりではあったが、楽に体が動いてくれている。一塁からは、アホみたいに永谷が大きな声を出していた。コイツ、あとで殴らないとな。一塁ベースを回ると、今度は二塁ベース付近の橘が大きな声を。お前が俺の走りを邪魔するなよ。徐々に次の走者である悠太の体が大きくなってくる。走ってると、実際自分がどのくらいらの順位なのかまったくわからない。それでも、懸命に走り続ける。
心地よい夕暮れのもと行われた俺のベースランニング。二塁ベースにいた悠太とハイタッチをしたとともに、俺はフィニッシュを迎えた。あー、あー。苦しい。走り終えた瞬間、俺は、二塁ベースを超えたあたりまで進み倒れこんだ。俺の体はダンベルのように重い。さっきまで軽かったのに。息は荒く、筋肉からも汗が滲み出ているようだ。よろめきながら、2番目に走りだりした悠太を見つめた。俺だけでなく、1人目の走者は、それぞれのベースを駆け抜け地面に倒れ込んだ。それほど本気で走っていたのだ。
少し吹いていた風の冷たさが俺の呼吸を整えてくれる。近くにいた橘たちが健闘を称えながら、2番目の走者である悠太を応援しているのだった。俺は何もできず、ただただそんな状況の声をに届けていた。ゆっくりとしていたら少しずつ苦痛が消えていったように感じる。ゆっくりと起き上がり、足を触りながら、ホームベースを回った悠太を見ていた。俺の体は限界まできていたが、そんなことはどうでもよかった。このゲームで勝てばもうトレーニングしなくて済む。それだけしか願うことはなかった。




