3月31日 マインド
俺 「今日、寒いな」
遠山「たしかに。明日、もう4月なのに」
明日から4月なのに、思いの外寒い。この寒さには、正直耐えられなかった。
俺 「そうだな」
遠山「俺もそろそろ潮時だな」
最近、遠山は意味深な発言が多い。
俺 「どういうことだよ」
遠山「そのままだよ」
俺 「は?意味わかんねーよ」
眠たい目を擦りながら、ボールを見ていた。
遠山「終わりだってことだよ」
俺 「何が終わりなんだよ」
遠山「野球だよ」
コイツが言えば言うほど怪しく感じる。
俺 「外野やめんのか?」
遠山「あー、それもいいな」
バッティングはいいからな。DHでもあれば、もっと伸びるのにな。
俺 「さすが、レギュラーの余裕感じるな」
遠山「そうか?」
俺 「ああ」
金属音とともに、打球は飛んでいく。
遠山「お前も絶対試合に出る日来るって」
俺 「そんなことないから」
なんで、コイツはこんなに気にしてるのかよくわからない。
遠山「いや、予言できるから」
俺 「お前は監督か」
遠山「違うけど、センスめっちゃあるし」
センスかぁ。その言葉は、昔から嫌というほど聞かされた。もう、その言葉は聞きたくない。
俺 「当たり前や」
遠山「そこは否定せんのや」
自分にセンスがあって野球が上手いのはわかってる。けど、こうして試合に出ていないのが結果だ。納得いかないない。
俺 「うん。自分で上手いと思ってるから」
遠山「すごい自信やな」
その通りだ。
俺 「自信くらいしかないからな」
遠山「どういうこと?」
悔しすぎるけど、試合に出て活躍しないと、下手だったということになる。それだけは嫌だ。周りにどれだけ言われようと結果で示す。俺に残されたことはそれしかない。
俺 「どんだけ頑張っても、野球は団体スポーツやから。レギュラー争いも3枠しかないし」
遠山「まぁな」
レギュラー争いなんて、くだらないことをしてる場合じゃないんだよ。俺は。
俺 「争いで人とモメるのもめんどくさいからな」
遠山「珍しいな、お前がそんなこと言うなんて」
俺 「そうか?」
試合に出て、結果を出す。そのためには、何かを変えなければならなかった。それは、野球の何かとかじゃない。俺の野球に対するマインドな気がしていた。




