3月28日 練習試合(野島高校)
今日も1試合目は、相変わらずベンチスタートだった。1試合目は、8対10。両チーム合わせて18本のヒットが出た乱打戦だった。あまりにも試合が長かかったので、俺はイライラしてしながら、2試合目に挑んでいた。1回裏、俺はベンチから悠太の打席を見守っていた。チャンスに俺を回せ。大きな金属音は、左中間を真っ二つにわっていく。打った悠太は、一塁を回って二塁へ到達したのだった。
俺は、2回、3回とバットを振り、打席へと入った。監督の方を振り返り、サインを確認。耳、口、肩、鼻と順番にサインを出していく。ここは、何かのサインを出していない。自由に打っていいということか。最低限は、二塁ベースより左に打つこと。つまり、引っ張ればいいのだ。右ピッチャーの変則気味。ピッチャーも俺が一塁方向に打とうとしていることはわかっている。となれば、この打席では、おそらく外角を攻めてくるだろう。
初球、甘く入った変化球をかっ飛ばす。そう決めた。セットポジションから第一球目を投げこんだ。あっ、真ん中だ。まさかのストレート。タイミングをずらさずキレイにバットを振り抜いた。大きな金属音を響きわたらせながら、ライト頭上へと飛んでいった。俺は、ゆっくりと一塁を回った。こんなホームラン1本ではストレスは減らないけど、少しはスッキリした。ホームに戻ってきた俺は、一番初めに悠太が俺を迎え入れてくれた。ハイタッチをした後、悠太が俺のヘルメットを叩いた。
1試合目に出せと言わんばかりの表情を見せながら、監督を見つめた。しかし、そんなことは考えてないんだろうな。監督は。ベンチでは、1試合目に出ていた、遠山や健太郎たちが盛大に祝ってくれる。キャプテンの川中、エースの橘も笑顔だ。ヘルメット、手袋を脱ぎ、もとの位置に戻した。俺は、4番に入った小山を見ながら、水分補給を行った。今のは、ホントにキレイなバッティングだった。自画自賛してしても全然おかしくないほど。いろんな気持ちを抱えながら、試合に挑んでいたのだ。
【聖徳高校メンバー】
1番 飯田徹 二塁手 3年生
2番 山田悠太 三塁手 3年生
3番 早川直人 右翼手 3年生
4番 小山祐介 一塁手 2年生
5番 永谷満 中堅手 3年生
6番 塩尻郷 遊撃手 2年生
7番 向井雅 捕手 2年生
8番 田畑誠 左翼手 3年生
9番 竹田衣玖 投手 2年生




