3月27日 休み時間
4月まで残り4日と迫っていた。4月になったから何かというのはない。ただ、3年生になったというそれだけだ。金属音がグラウンドに響き渡っていた。俺は、教室内からソフトボール部の練習を見守っていた。今日は、サッカー部、陸上部、ソフトボール部、テニス部が練習していた。
井上「すごいな、グラウンド」
俺 「ああ。野球部はいないけど、こんなにクラブ活動してると」
野球部がいない分、サッカー部とソフトボール部は、かなり幅広く範囲をとりながら練習をしていた。
井上「野球部やったら、もっと大変だよな」
俺 「そうだな。バッティング練習したらやばそう」
いつも野球部は、バッティング練習をやると、サッカー部やソフトボール部にどんどんボールが入ってしまう。
井上「ホントだよ」
俺 「井上は、今日行かないのか?」
前髪を触りながら話した。
井上「練習?」
俺 「ああ」
バックネット奥には、桜の木が目を出していた。
井上「行かないかな」
俺 「なんで?」
井上「だって、めんどくさいやろ」
俺 「めんどくさいって、なんだよ」
井上は、陸上部に所属していた。
井上「いったって足の速さは変わらないよ」
俺 「ハハハハ。そうなの?」
自分の中でちゃんと考えがあるように思えた。
井上「ああ。足なんてセンスだよ」
俺 「センスなの?」
驚いている俺を井上は、制した。
井上「当たり前だろ?」
俺 「当たり前なのかよ」
井上「どんだけ頑張っても、勝てないよ。俊足には」
井上も決して遅くはない。ただ、やる気がないだけだ。たしか、テニス部にも入っていたような?
俺 「陸上部って、誰が速いの?」
井上「うーん?二宮とか若林とかじゃないの?」
俺 「そうなんだ」
俺たちがいる5組は、宝来や永谷などやる気がないやつが多い気がした。まぁ、俺もその一人だからなんとも言えないんだけど。そんな風に俺たちのクラスは見られてるんだから面白いよな。
井上「そろそろクラス入ろうぜ」
俺 「ああ」
もうすぐ休み時間も終わりそうだった。
井上「勉強もだるいな」
俺 「ああ。めんどくさいよ」
そう言って、俺たちは特別授業が行われるクラスにもどっていくのだった。自分が一番ちゃんとしないといけないと理解していたのだ。




