3月24日 八幡修也
大きな金属音とともに、俺は走り出した。橋本の打ったボールは、ピンポン球の様に飛んでいく。外野を守っていた俺は、急いでボールの方へ向かった。こんなに飛ばすなよ。舌打ちをしてしまう。打球は、ソフトボール部のところまで飛んでいく。俺は、帽子をとりソフトボール部の生徒からボールを受け取った。やっぱり打撃練習は、他の部活動がしていない時の方がいいな。
橋本の次に打った悠太の打球は、外野が守っているポジションより前に。打球の飛距離はこんなにも差があるのか。悠太の次に打つ八幡は、低い打球を放つ。すると、バッティングゲージの横の方にいた橘たちから大きな声が聞こえた。橘の近くには、女子生徒が2.3人いるみたいだった。八幡は、野球部で一番モテる生徒だ。俺にないものをもってるからムカつく。八幡は、優しい性格で誰からも人気だ。俺は、嫌っているが八幡は、俺のことを嫌いだとは思っていないだろうな。俺もこんな性格ではよくないと感じていた。
けど、なんで八幡たちのことが嫌いだったんだろうな?俺は、高校1年生の頃を思い出した。あっ、そういえばあの時の出来事があったからか。その出来事ととは、1年の時に起きた喧嘩だった。当時、1年生の間では橋本、川中、俺の3人が3年生たちに混ざって練習することができた。しかし、他の1年生は、そこに混ざることができなく、練習のサポートに回っていた。そんな中、問題は起きた。当時、サポートに回っていた八幡が先輩の悪ノリに付き合ったことによって、俺がふざけているみたいな流れになってしまったのだ。それは、監督の耳まで届き、何もしていないのにとても怒られてしまい、挙げ句の果てに練習すら参加さしてもらえなくなってしまう。その後は、怪我をして本当に練習できなくなるという流れ。これには、自身で呆れてしまう。
あの時、八幡たちに関わっていなければ俺も変わったのかもしれない。そんなことを考えていると、今でもやるせない気持ちになってしまう。本当はわかっていた。練習から外されたのも、怪我をしてしまったこと八幡のせいではないことを。けど、誰かのせいにしないと自分が間違っていることを認めてしまうのだ。それだけは、避けたかった。何かできない時、その理由が欲しかった。その理由に守ってもらいたかったというのが本音だった。なんてなさけないんだとは思いながらも、そうでもしないと自分自身を守ることがてきないということを知っていた。




