親友①
主人公視点です
少し長いです
楽しんでいただけたらいいな~
「昨日は散々だったな」
迅は一人、昨日の入学式のことを思い出しながら学校へ登校していた。
あの後、無事に入学式も終わりクラス発表があった。その時に例のあいつもおんなじクラスだったのはそれなりに驚いた。それは向こうも同じだったみたいで少し驚いた後、親の仇のような目つきでこちらをにらめつけてきたのは面白かったな。相変わらず表情豊かで飽きないやつだと思った。まぁ、そんな奴だから俺も変に緊張せずに接することができたんだろうが、それにしても
「はぁ~、目立っちまったな、変に怖がられてないといいのだが」
迅はかっこいいといってもそのあまりにも高い身長とどっちかっていうとつり目がちなため威圧感がすごく怖がられることが多い。そのためあまり目立たないつもりだったのだ。
「まぁ、仕方ないのかな、はぁ~」
「朝からため息なんてついてどうしたんだい?」
迅の後ろからさわやかな声がかかる
「あぁ、悠か。おはよう」
こいつは朝野 悠、俺の親友だ。俺のことを怖がらずに話しかけてくれた数少ない奴だ。そのことから分かる通り優しくて友達思いのいいやつだ。さわやかな声に似あう見た目で好青年のイケメンだ。自称、彼女持ちらしい。見たことはないので本当化はわからないが多分ほんとだと思う。しらんけど
「おはよう、迅。それでため息なんてついてどうしたんだい?」
「あぁ、大したことじゃない」
「ふ~ん、ま、大方昨日のことで目立ったのを心配してたんだろうけど」
「・・・・」
こいつまたか、この親友は俺の考えていることをこれでもかってほど的確に当ててくる。俺そんなにわかりやすいんだろうか?もう、いっそこいつと話すときは変顔でもずっとしていたらいいだろうか。なんかこいつに全部当てられるのも、うざい、悔しい、恥ずかしいし、やってみよう。
「なんだい?その変顔、朝から気持ち悪いよ?子供には見せられないね、幼稚園でその顔したらきっと幼稚園が地獄になるね、子供の泣き声で」
こいつは俺のことが嫌いなのだろうか?泣いちゃうぞ?さわやかフェイスでしかも真顔で罵倒されたら泣いちゃいそう。
「まぁ、僕に考えてたことをあてられたのがうざくて、悔しくて、恥ずかしかったから僕に当てられないようにしようとしたんだろうけど」
「・・・・」
こいつはあれか?あれだろ、変態だろ、もうそれ以外考えられん、気持ちわるっ!!!
「勝手に変態扱いしないでくれ、ただ迅がわかりやすいだけだよ。」
「・・・・・そうか」
こいつの前で余計なこと考えるのはやめにしようと心に誓う迅とそれをいぶかしげな視線で見つめる悠、
「まぁ、心配しなくていいと思うよ、というか結果的にはよかったんじゃないかな?迅の怖いイメージがすこしは薄れたと思うよ。」
「そんなもんか?ならいいなぁ~」
迅は少し考えるそぶりを見せる。それを見て悠はクスッと少し笑った。
「それに迅、少しうれしかったんでしょ?自分にビビらずに突っかかってきてくれて」
「・・・」
笑いながらそう言う悠に迅はドンピシャだったのかばつが悪そうに黙る。その様子を見た悠はまた少し笑い「それに・・・」と続けた。
「私を見下ろさないでだっけ?僕、それ聞いて不覚にも笑ってしまったよ。迅のことを初対面で怖がらないうえそんなこと言うなんて」
フフフっと悠はさっき以上に笑う
「だからうれしかったんでしょ?」
悠は確信めいた目で迅を見ながらそう言った。迅はこいつにはかなわないなと思い、素直に「あぁ、そうだな」と苦笑しながら言った。悠はその答えに満足したのかもう一度笑い、「じゃ、ちょっと用事があるから」と言って走っていった。
「あ、そうだ、迅!」
「なんだ?」
一度立ち止まり迅のほうに振り返った悠は満面の笑みを浮かべ、迅に
「一緒のクラスなんだし、仲良くなれるように頑張ってね!それじゃ、またクラスで!」
悠は迅の返事も聞かず、言いたいことだけ言って走って行ってしまった。
「まったく、余計なお世話だよ」
と文句を垂れる迅の顔はとてもうれしそうだったのを迅は気づいていない。でも、特に深くも考えず相手のこと理解しあい、余計なおせっかいを焼ける。そんな関係が楽で何よりも大切で親友といえる関係になるのに必要なんじゃないかと迅は思っている。
「どうなるかな」
迅はこれから仲良くなれるかもしれない雛のことを考え、「なるようになるか」と考えるのをやめた。
迅はまた一人学校への道を歩いていく。その表情は数分前とは異なり楽しそうであった。
親友って大事ですよね
作者的には友達は量より質です。
どれだけ仲良くなれるかが重要だと思いますw
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