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すると何かが地面に落ちたような音がした。
見れば曲がった棒のようなものが転がっている。
女は思わずそれを右手で拾おうとした。
だが拾うことが出来なかった。
女がその状況を把握するまでに、少し時間がかかった。
そして現状を理解したとき、女は息を呑んだ。
あろうことか自分の右手がないのだ。
左手で触ってみると、女の右手は根元からなくなっていた。
そして地面に転がっているのは、信じられないことにどうみても自身の右手。
そう女の右手が落ちているのだ。
にもかかわらず全く痛みは感じなかった。
血の一滴すら流れていない。
――ええっ、どういうこと?
するとまた聞こえた。
耳の奥で、頭の中でしゃべっているような女の子の声が。
「次は首」
テレビを見ていた。
夕ご飯の前だ。
この時間はだいたいニュースをやっている。
ニュースでは女性の右手と首がはなれた事件を流していた。




