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いくらなんでもそんなはずはない。
見間違いだ。
そう思い、もう一度見直してみたが、やはり右腕がないように見える。
半そで男が立ち止まり、右後方を見た。
つられて見てみると、そこには人間の右腕にしか見えないものが転がっていた。
「ええっ!」
男はおもわず声が出そうになったが、半そで男のほうが先に大きな声を出したので、出しそびれてしまった。
「えっ、なんで、なんで?」
半そで男は左手で自分の右手を拾い上げ、固まったまま凝視している。
やはりどうみても、落ちた右腕を拾ってみていると言う構図にしか見えない。
――それにしても……。
男は思った。
痛くないのだろうか。
半そで男は有り余るほどの驚愕のオーラをその身体全体から発してはいたが、痛がっているという空気はまるで漂っていなかった。
男が戸惑いながらも半そで男を見ていると。
「次は首」
唐突に声がした。
男にはそれは幼い少女の声に聞こえた。
慌てて周りを見渡したが、少女に似つかわしくないこんな時間のこんな場所に、やはり少女の姿はなかった。
半そで男にも声が聞こえたのか、男と同じように周りを見渡した。




