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6話 ブラックな味

 肩までくらいのショートのピンク色の髪のメイドの姉。

 かたや、腰までくらいのロングで水色の髪のメイドの妹。

 そして、1000年に1度の美少女と言っても過言でないリュシル。

 すでに俺は異世界召喚のテンプレである『美少女に恵まれる』という御礼を受けているのは実感はしている。

 元いた世界は出逢いという出逢いはなく、また今後もないだろうと思っていたから、嬉しいものだ。そういう点では異世界召喚万歳だな。

 

 さて、俺は今は何しているかというと、

 

「ほら、そこ泡が残っているわ。」


 風呂掃除をしていた。

 まあ使用人になったことだし、風呂掃除とかするのは当たり前けどね、もう黄金浴槽とか驚かないけどね、少しは働きましょうよ。御姉様よ~。

 倉庫の片付け&掃除や廊下の掃除、そして風呂掃除。全て教えるだけであとは椅子に座って見ているだけ。まあ別に慣れているし、そんなことより教え方が超上手かった。正直、上司に恵まれたなと思った。前いた世界では、「頼むから~」と放り投げして自分は定時帰り。そして、ミスったらここ教えただろ?とか意味不明な事を言ってくる。といったクソ上司だったから、もう御姉様最高です。

 

 残っていた泡を流してっと。もうこれで風呂掃除は完璧だな。さて、報告するか。報連相は、大切だからな。

 「風呂掃除終わりました。」


 「……むにゃ…zzz」

 

 寝てる。マジか。…しかしあれだな。寝顔可愛いな…。取り敢えず拝んでおこう。

 

 「んっ。んんんーーーん?」

 起きたようだな。携帯持ってきてなかったのは残念だったな。けど、良いものを見せてもらった。怪しいものじゃないから安心していいよ。そんな俺もクソじゃないからね。

 

 「遅すぎて、寝てしまったのだけど終わったかしら?」

 

 「ええ。終わりましたよ。姉様よ。」

 

 「…その呼び名。まあいいとするわ。」

 

 「次は何をすればいいんですか?」

 

 「そうね…」

 

 そうして、姉様は回りを見渡しそこにあった時計を見た。てか、この世界にも時計があったんだな。しかも、前いた世界とあまり変わりがない。長針と短針があり、数は12ある。ちゃんとした時計だ。外見は…。うん。そっとしておこう。

 その時計を見る限り今は3時だな。まだ外が明るいし正確には15時ってことか。

 

 「そうね。休憩でもしましょうか。」

 

 キュウケイ?ああ…。休憩ね。……えっ。休憩していいの?たった2、3時間働いただけなのにいいの?休憩中の時間は給料出るの?

 まあ色々と質問こあるがホントに休憩をしていいのかだけでも聞いておこう。

 

 「休憩していいのですか?姉様」

 

 「していいに決まっているわ。だってずっとあなた1人で仕事をしていたからね。無理は体に毒よ。」

 俺は思わず言葉が出なかった。

 感動というべきか、歓喜というべきか、今までの休憩といったら昼飯を食べる5分の事だったからこうなんだろう。腑に落ちない感じがある。

 

「厨房に行くわよ。」

 

 そう言われ俺は浴槽を出て、廊下を歩き階段で下に降り、少し廊下を歩いたところに厨房があった。そして厨房の中に入った。取り敢えず厨房の中は黄金厨房じゃなかったことを報告しよう。

 木材をメインとした厨房で火の回りや水の回り、あとテーブルの上などは鉄みたいな素材で出来ている物を使用している。

 厨房には先客がいた。

 

 「お疲れ様。イクト。ルルちゃん。」

 

 「お疲れ様です。御姉様。イクトくん。」


  絶世白髪美少女、リュシルと水色ロングヘアメイド、ユユが出迎えた。

 リュシルの向かい側に座り、少し待っているとユユが、コーヒーらしき物の飲み物を用意してくれた。

 取り敢えず臭いを嗅いでみた。うん。コーヒーの香りだ。しかも、ブラックでなかなかいい豆を使っているのも伺える。

 恐る恐る少し飲んでみた。うん。ブラックコーヒーだ。しかもなかなかいい味が出ている。

 …なんか異世界だからビックリするような物とかあるんじゃないかと思っていたけどさっきから前いた世界と対して変わらないものが多いのは気のせいなのか?とか思い始めてきたな。

 …しかし、このコーヒー旨いな。

 

 「気に入ったようね。このヒーコ。」

 

 「はい!リュシル様の仰った通りでしたね!」

 

 ちょっと待て。俺は聞き逃さなかったぞ。「ヒーコ」って一体なに?あれか?あれなのか?ザギンでシースーとかそんな感じの逆読みなのか?それとも全くの別の飲み物の名前なのか?

 

 「あっ。説明してなかったわね。これはイクトの元いた世界ではコーヒ?と呼ばれている飲み物よ。」

 察してリュシルが教えてくれたお陰で理解できたな。なるほど。要するに少し呼び方が違うだけか。ヒーコ。ヒーコね…。

 

 「ところでイクト。もう1人の人知らない?」

 

 リュシルが唐突な質問をしてきた。

もう1人?一体なんのことかさっぱりだ。

 

 「いや、知らないよ。」

 

 「そっか。ありがと。」

 

 何か少し引っ掛かるな。ちょっと聞いてみるか。

 「もう1人って、一体なんのことだ?」

 

 姉様やユユも気になっていたのか俺の質問に頷いていた。

 リュシルは白いマグカップをテーブルの上におき、少し考え込みそして、

 

 「実はね、異世界召喚されたのってイクトだけではなく、あともう1人いるの。」

 

 「…えっ!?」

 

 どうやら、この事実は姉様やユユも聞いておらず、3人の声が同時に重なった。

 

 「そ、それって。えっ。えっと…。」

 

 「落ち着きなさい。ユユ。ただもう一人。クトイみたいな厄介者がいるだけだから。」

 

 姉様よ。クトイってもしかして、俺の事ですか?しかも厄介者呼ばわりされてるし。…。しかしあれだな。一体ここからどうなっていくのかまったく検討もつかないな。

 

 そう思いつつ俺はヒーコを啜った。

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