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39話 取引のユウカイ

ーー時は少し遡る。


「盗賊達が…取引をしたいと申し出てきました。」

 

「な、なんですって!?」

 

 このタイミングでの盗賊が仕掛けてきた。和解だろうか。リュシルは少し何かを考えて、

 

「話だけでも聞きましょう。ユユちゃん、パパとカエデさんにルルちゃん経由で、この事を伝えてちょうだい。」

 

「わかりました。リュシル様。」


 今、屋敷にはリュシルにミリヤと藤崎花菜とユユしかいない。国王とカエデは外出しており、その付き添いにルルも同行している。

 そんな中、狙って交渉に来たかのように訪問ではなく取引に来た盗賊。和解だろうかと考えたが、その考えは今はもう捨てた。何か企んでいるに間違いはない。

 

(危険ではあるが、話を聞いてパパ達が戻ってくるまで時間稼ぎをしよう。ユユちゃんはルルちゃんに伝えるのにはそこまで時間はかからないから、30分ぐらい…かな。)

 

 ユユはルルに伝えるのは容易くできる。

 ユユルル姉妹は『共有』という特殊な魔法を持っている。どこに居ようが特定の相手に言葉を伝えるのは勿論。会話もする事ができる魔法。

 その魔法を使えば、簡単に伝えるのができる。

 

「ユユちゃん。盗賊達は応接室?」

 

「はい、そうです。」

 

「わかったわ。ミリヤちゃんと花菜ちゃん。一緒に行きましょうか。」

 

そうして、リュシルとミリヤ、藤崎花菜は応接室へ。ユユはルル達に連絡するために。それぞれの行動に移った。


※  ※  ※

 

「何言ってるのあなた!!」

 

リュシルの怒声が応接室内を響き渡る。


「王都中に不特定多数の魔獣が出現する魔法をかけるですって!!罪もない人達がどのくらいいると思っているの!?」

 

 テーブルを挟んで向こう側。上座にいる1人の盗賊。名はラロッシュ・アルテアと言う。

 すらりとしたスタイルに白い長髪がマッチしており、より美形を際立っている。正直、盗賊に見えない。白いスーツにどちらかと言うと殺し屋と言われた方が納得できる。


「ですから、こんな惨劇になる前にリュシル様達に御協力して戴きたいのです。」

 

「協力?」

 

「はい。リュシル様とそちらにおられますミリヤ様には、うちのアジトまで同行お願いしたいのですが、それでしたら市民の皆様にも被害は及びません。」

 

 とんでもない事を言っている。

 とても正気ではない。国民の命が惜しければ、捕虜になれと言っているのだ。リュシルはギリッと、奥歯を噛み締めた。どうしようもないのだ。

 覚悟を決めた。

 

「…わかったわ。」

 

「リュシル!!」

 

「リュシルお姉ちゃん!!」

 

「ごめんね。こうするしか、皆が助かる道はないの。」

 

 藤崎花菜とミリヤに謝った。

 そして、リュシルは条件をラロッシュ・アルテアに突きつけた。

 

「ただし、条件があります。」

 

「ほう、条件ですか。」

 

「はい。私だけの同行にして欲しいのです。」

 

「それは、無理な話です。」

 

「そこを…。」

 

「リュシル様。こちらは王都に魔獣を放つことができるのをお忘れですか?」

 

 ラロッシュ・アルテアは、にこやかに愛想よく作り笑いをしながら、リュシルの願いを取り下げる。

 

「わかりました。なら、今すぐ凍結にして差し上げます。」

 

「おやおや、本気ですかい。リュシル様。どうなっても知りませんよ。」

 

「そんなの知らないわ。覚悟しなさい。悪党。」

 

 

 ※  ※  ※

それから暫く経った。

現在ーー。


 

 そこは、薄暗く寒く見覚えない場所だった。数人の男の人の声が遠く聞こえる。

 まだ覚醒しきれていなく朦朧とする意識のなか、違和感を覚えた。手や足が動かない。

 いや、これは縛れている。

 口も何か巻かれており喋ることも難しいと理解する。

 (あれ?あれから、どうなってしまったのだっけ?思い出せない。)

 

 まだ覚醒しきれていなかったためぼんやりしていたリュシルだったが、直前まで一緒にいた2人、ミリヤの存在と藤崎花菜の存在に気づいた。その事に気づくと一気に意識が覚醒した。


(ミリヤちゃん!?花菜ちゃん!?)

 

 リュシルは瞬時に周りを見渡せる限り見渡した。そこには、手足を縛られており、眠っているミリヤがいた。見たところ外傷もなく、とりあえずホッとした。

 

(あれ?花菜ちゃんは…?)


「おい。」


(うっ!?)

 自分の後ろから男の人の声が聞こえた。

 その声に聞き覚えがあったが、今はそれどころではなかった。


(もしかして、目を覚ましたのがバレた!?)

 

 リュシルは息さえも止めて後ろの様子を固唾を飲んで伺う。

 

「この2人には、一切、手をつけるなよ。大事な取引の商品だ。見張っておけ。」

 

「わかりました。お頭。」

 

 (取り敢えず、バレてはいないようね。それより、あれから何があったの…。ダメ。思い出せない。うーん。まあ、そのうち思い出すでしょう。それよりさっきの話。商品?取引?何を目的としてるの!?一体何に私達は利用されるの!?やだ…。お願い。助けて…。)

 

 不安で押しつぶれそうだが、微かな希望に全身全霊で縋り付き1人の青年が助けに来ることを祈り続けるのであった。

 

(イクト…。)

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