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第1章幕間  開かれた密会

この話は屋敷に戻る際に出会ってすぐにとんずらした盗賊の話です。

※   ※    ※

 

「ホントによかったのでやしたか?親分。」

 リュシルによって荒れ狂う吹雪になったなか誰もいない裏路地を盗賊達は歩いていた。

 

「ちっ。しょうがねえだろ。話が違うじゃねーか。」

 

「確かにあの女の話では王女とクソガキの2人って言ってやしたでしたからね。」


「くそっ。はめられたもんだ。」



 

時は昨日へと遡るーーー。

 


「あなたのような人がどうしてここへ?取引でもしたくなったのか?」

 

 ここは盗賊のアジトになっている。

 裏路地より少し離れている空き巣に住み込み拠点としている。

 

「ア、アニキ本当に大丈夫でやんすか?」

 

 いかにも下っ端である丸坊主のイキリ盗賊がこの盗賊の親分、まるでボディービルダーの体型でピチピチのタンクトップ姿のロイホ・アイルトンの心配をした。

 

「まあ、そうわめくな。ウェブ。別に俺らを捕らえに来たんじゃねーから。」

 

 堂々と一人で盗賊のアジトに乗り込んで一網打尽にする方が困難を極める。

 

「で、用件はなんだ?」

 

 いまだにフードを被って正体を明かしていないが、ロイホ・アイルトンは正体を知っている。

だからこそ捕らえようとしないことも知っている。

 

「…取引をしたい。」

 

ポツリとフードを被った女性が盗賊達に言った。





 


「少女を誘拐してほしい…ねえ。」

 

 ロイホ・アイルトンはフードの女性から取引内容を全て聞いた。

 明日、未明に裏路地を通る王女様達が連れている少女を誘拐してほしいのこと。

 対価としては、アインス王国はこの盗賊達に経済的支援をする。そういった取引だ。

 

「本当に王女だけだろうな。」

 

 こういった取引は情報が命になってくる。下手したらはめられる可能性もある。

 

「心配ない。恐らくもう一人いるかもしれないがそいつはゴミ以下のクズ野郎だ。」

 

 フードの女性はそれなりの情報を掴んでいるのか直ぐに回答が返ってきた。これは信憑性が高いのも伺える。

 

「それならいいが、もし話が違ったらすぐに身を引くからな。捕まるわけいかねえし。」

 

「そうなったら、それなりの違約金みたいな形で何かをする。」

 

「さすが言うことが違うね。」

 

そして、一息ついたロイホ・アイルトンは、

 

「いいだろう。乗った。ここにいる俺の子分達が承認だ。もし、そちらがこの取引に違反したら軍艦連れてでもこの国を滅ぼす。」

 

「ふっ。好きにしろ。じゃあお前らが違反したらこっちは直ぐにでも捕まえる。」

 


「交渉成立だ。」






ーーー時は戻る。


「見事に違っていましたね。親分。」

 

 下っ端がまたロイホ・アイルトンに話しかけた。

 もう盗賊達はアジトへ帰っており冷えきった体を暖めているところだ。

 

「まあいいじゃねーか。何かしらの見返りはあるからよう。」

 

「そうでしたね!」

 がはははと、笑う一同の元へフードを被った女性が再び現れた。

 

「こうも毎回易々と侵入を許してんだよ。」

 

「す、すいやせん。親分。」

 

「よお。全くお前の話とは違ったぞ。」

 

「ああ…。誰かの差し金か知らないがやられた。」

 

「そんなことはどうでもいい。それより、違約金のことだが。」

 

「これは完全な私の計算違いだ。何がいい?」

 

「いや、俺はこの国を乗っ取ろうと計画している。お前はそれに協力して欲しい。」

 

 手下や子分達が一斉に驚き数秒の沈黙が起こった。そして、その沈黙を破るように、ある1人が皆の気持ちを代弁した。

 

「その方に言ってよかったのか?ロイホ。」

 

 スラッとした立ち姿で整っている顔立ちをしていて白色の髪と見事にマッチしている。

 

「ラロッシュか。いや、いいんだ。」

 

「ラロッシュ・アルテア。」

 

 フードの女性が先程ロイホ・アイルトンに尋ねた男性の名を呼んだ。

 

「これはこれはよく御存じで。」

 

「お前の話は嫌でも聞いている。」

 

「ほほう。それではあなたは裏社会を御存じで?」

 

「…。」

 

「ふふ。そうゆうことですか。」

 

 何かを納得したラロッシュ・アルテアは脱線していた話を元に戻した。

 

「ロイホが言うならこの方に計画を伝えるとしよう。」

 

「構わない。私は元々からこの国の住民じゃないし、国家転覆も狙っているからちょうどよかった。」

 

 フードの女性はぶっきらぼうに話したが信憑性が非常に高いのが伺える。証拠として右手に違約金となる金だけが入っている袋を持っていて、ロイホ・アイルトンに渡した。

 

「これは、前の取引の気持ちだ。」

 

「なかなかやるじゃねーか。」

 

 軽く億単位は、いっている大金を受け取ったロイホ・アイルトン。

 

「では、こちらでご説明します。」

 

「手短に頼む。時間が限られているんだ。」

 

ラロッシュ・アルテアは奥の部屋へとフードの女性を誘導する。

 

「ええ。代理人さん。」

 

 そう言って奥の部屋の扉が厳重に閉まったのであった。

 

これは、リュシルが謎の部屋捜索隊を結成してから捜索している最中の出来事であった。

 

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