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22話 小さな少年

 その選択はホントによかったのか。


 その選択はホントに最善な選択だったのか。

 

 その選択は己の真意に従っての選択だったのか。


 その選択は…

 


 運命までも変える選択だったのか。

 

 

 常に自分にそう問い続ける。

 

 最善な選択をしろ。

 

 己の真意だけを信じろ。

 

 運命に逆らって変えろ。

 

 1つもミスは許されない状況や絶望的な状況を打破するために俺は存在している、と。

 

 それにしか、俺には存在価値がないからーーー。


※ ※ ※ ※

 

「固有魔法?」

 

 俺は、リュシルと吹雪の中を歩いている途中リュシルが気になることを言ったから聞き直した。

 今は、幸いにもリュシルの魔法の力で吹雪は防いで貰っているが、ただただ寒い。

 その寒さを紛らわすために、魔法の話をしていたところリュシルが気になる事を言ったわけだ。

まあ正確にはさっきリュシルが使っていた「氷」の魔法についてだが。

 

「イクト。まず魔法が三種類存在するのは知ってるよね?」

 

「ああ…知ってるとも。」

 

物理の法則ガン無視チートのあの魔法のことは勉強したからな。知ってる知ってる。

 

「「火」と「水」と「風」だろ?」

 

 とてもシンプルだった記憶がある。

火は基礎中の基礎の魔法。

水は戦闘向き。極めると氷まで使える。という特典付き。

風は選ばれし者だけが使える魔法だったかな。ちなみに限られた者しか使えない魔法なのに既にもう2人も見てきたから、本当に選ばれし者だけが使えるのかと疑問が浮かぶが、それは放っておこう。

 

「その通り。基本的には「火」「水」「風」の三種類だけど、あともう1つあるの。それが「固有魔法」。」


「…なるほど。要するに魔法が4つ存在するってことか。」

 

「うーん。ちょっと違うかな…。」

 

「て、いうと?」

 

「「固有魔法」は簡単に言うとその人だけが使える魔法。オリジナル魔法ってわけよ。」

 

ほう。なるほど。だから違うなのか。

4種類にとどまるどころか、下手したら無数の種類の魔法が存在するわけだな。

 

 「この「固有魔法」は生まれながらに使えたり、ある日突然使えるようになったりする、魔法でだいたい生まれながらが多いわ。」

 

 おお!まじか!これは朗報だぞ!その話が本当なら、魔法適正が全くないこの俺でも魔法が使える可能性が…

 

 「イクトの場合は適正が無いから関係ない話だけどね。」



 …おう…。ま、魔法が使えるなんて期待してなかったけどね。別に。hontoだよ。

てか、なぜリュシルは俺の心読めるの!?エスパーなのか!?

 

「私がエスパーじゃないのかという目で見てるけど、私はエスパーじゃありませんからね。」

「ちなみに「固有魔法」をこの国で使えるのは、パパと私とユユちゃんぐらいなか…?パパのはよくわからないけど、ユユちゃんは「幻想」。私はさっきも言ったけど「氷雪」の魔法が使えるよ。私は若干「水」魔法の氷と被ってあるところがあるけど、ユユちゃんの「固有魔法」は凄いんだからね!」


 リュシルの魔法も俺からすれば常識離れしていて、凄いどころじゃないんだけどな。

 しかし、「固有魔法」か。

 また厄介な魔法だな。

 リュシルのは見せて貰ったからわかった。異常気象になる程の力があるのを確認させてもらったから。

それはともかくユユの「幻想」が気になるな。

 大方、どんな魔法なのかは想像がつくが、使い方次第では…

 

「イクト!イクト!あれ!」

 

考え込んでいたが、リュシルによって俺は強制的に考え込むのを止めさせられて、リュシルが指を指している方向を見た。

 

「うう…。寒いです…。」

 

ところどころに穴が空いたぼろぼろの服を着ている小さな少年が凍え震えていた。

 それは屋敷まで残り約1キロメートル。王都大通り西端沿いで起きた、とある事件だった。

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