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17話 力とは


力という言葉がある。

 その言葉の意味は物理的な意味が多い。

 もちろん、それが強大ほど強者になれる。が、それは運命的にも限られている。百人が百人強者になれるわけがない。

 強者がいれば弱者も存在する。その理は絶対だ。

 

  弱者も微力ながら力はある。

 だが、強者に対して弱者は逆らうことは出来ない。それは簡単な話だ。

 

 微力だからだ。

 

 塵も積もれば山となるという言葉がみたいに弱者が手を組めば抗えると思う奴もいると思う。しかしそれは強者同士が手を組めば山も簡単に崩される。

 弱肉強食。

 まさしくその言葉通りこの世は生成されている。

 

 なんてつまらない世界なんだ。

 

 弱者には強者以上の力が存在するのに。

 強者を食らうのは弱者なのに。

 

 弱者には弱者しかない別の力があるのに。

 

 なんてつまらない世界なんだ。

 

 だから、俺は言い続ける。

 

 この世界はクソだと。

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 さっっっむむむむ!!!

 

 イクトは吹雪の中にいた。

 

 いやいや、寒すぎだろこれ!絶対マイナスはあるよ!鼻水凍っちゃうよ!


 ガクガク震えながらイクトは来た道を戻っている。

 ごった返していた王都の道は全く人気が無くなり、完全に貸切状態。ほんの数時間前のがウソのようだ。

 

 まさかここまで寒くなるとはな…。


と、震えるイクトはまた、

 

 吹雪はやめてほしいものだ。あのトラウマを思い出してしまう。…クソっ。まあ、しゃーねえーな。てか、寒い…。

 

 と、ぶつぶつ独り言を呟きながら、異常に分厚い雲があるところを目指して歩いて行ってるのであった。

 

 これはガチでヤバいやつ。

 藤崎花菜は一瞬でそう思った。

 生命の危機はこれまでに何度か味わったことがあった。だが、これに関しては今までに味わった事のない、また本能や直感などと言った感覚全てが逃げなちゃ死ぬを主張していた。

 だがしかし藤崎花菜はまだ逃げれない。今逃げたとしても逃げ延びる確率は非常に低いと踏んだ。

 あと、もう少し。そのために時間を稼がなくてはいけない。戦闘になったら、一瞬で終わってしまう。

 ここはブラフでもいいから戦闘にならないようにしなくちゃ死ぬ。

 何か言わなきゃ。

 

 何か…

 

 

 「……。」


 「…そんなに怯えて。私が怖いですか?」


  「えっ…。」


 何言ってるの?

 そんなの怖いに決まってる。

 だって穏やかだったこの地を荒れ狂う吹雪に変えてしまうその力。獲物を狙いすましているかのような紅色の瞳。まさしく雪女。妖怪レベルだよ。

 

 「…怖いの?」

 

 紅色の瞳の雪女状態のリュシルが語り続けてきた。この吹雪で視界もかなり悪い。人影ぐらいしか確認出来ない状況だが何故か声だけはハッキリと藤崎花菜には聴こえた。

 

 「怖いよ。今すぐ泣き出したいぐらいよ。怖いって言わない人なんていなっ…いる方が少ないよ。」

 

 「…そうですか。」

 

 「…ねえ。私を何故そこまでマジになって捕まえるわけ?」

 藤崎花菜は異世界から召喚されてからずっと疑問になっていたそもそもの理由を知りたかった。何故こんなに必要以上に捕まえる理由。

決してただ事ではないことしかわからない。

 

 「…いずれあなたも気づくことになるでしょう。…国家いや、世界を崩壊するのも可能なその力に。」

 

 「うわっ。なにその、中二病臭い力。」

 

 「ふふ。気づかないのも時間の問題ですよ。既にその片鱗は表れてきていますからね。ですから、国家の監視下の元にあなたを置く必要があるからですよ。」

 

 「あー…。理由はわかったよ。別に監視下に置かれるのはいいけど、問題は何をされるかわからないのが問題なんだよな~。」

 「だから、あんたには捕まる訳にはいかないね。」

 

 「…そうですか。それでは私は全力であなたを捕まえさせて貰います。」

 

 そう言ってリュシルは藤崎花菜に向けて右手を突きだした。

次の瞬間、全長五メートルはある氷の柱5本が藤崎花菜に向けて放たれた。時速200kmで放たれた氷の柱は1秒もかからずとして、藤崎花菜の元へ向かってきた。

だが、藤崎花菜はギリギリで避けることに成功した。氷の柱が生成された時に勘づいてか既に横へと避け始めていて、安堵して自分の横を通りすぎた氷の柱を見ていた。

 

 「…ふーっ。危ない危ない。だいたいこんなのくらったら…っ!!」

 

 藤崎花菜は氷の柱の行く先を見ていたがそこに何故か人の姿あった。

 

 「あっ!危ない!!」

 

 思わずリュシルもまさか人がいるなんて思ってもいなく、咄嗟に声しか上げれなかった。

 


 ドオーーーーン。

 建物に氷の柱がぶつかった衝撃音が吹き荒れる吹雪のなか遅れて伝わってきた。

 

 「…いやっ。そんなはずじゃ…。何で人が…」

 

 リュシルの表情が怖がり、計算外の事態にかなり焦っていた。

 藤崎花菜も今この状況をまだ理解しきれていなく、ただ見てることだけしか出来なかった。

 

 「痛てて。まさかこんな小さな段差につまずくとか、年だな。ん?」

 立ち込める煙の中、直撃したと思われた人の影が現れた。

 しかも、その声は、


「…おやっ?そこにいるのはもしかしての絶世美女のリュシルなのか?」

 

 もう一人の異世界召喚者にて、今は屋敷の使用人。

 


 青木郁人だった。

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