12話 謎の美青年
時は数時間前に遡る-------。
「だ、大丈夫かい?」
突然何かにぶつかり、そのまま倒れからその声はかけられた。恐らくその声の主とばったりぶつかったのだろう。
取り敢えず謝っとくか。
そうして、ぶつかった相手の顔を見る。金髪のショートストレートに余計なものがついていなく、キレイに整った顔立ちをしている。宝塚にいそうなカッコいい系の美しさを解き放っている。
「すまない。立てるかい?」
そっと手を差しのべてきた。
なんだこれ。イケメンのテンプレじゃねーか。と思いつつも、思わずドキッとしまった。
「…お、おう。」
差しのべてきたその手に捕まりながら、立ち上がった。
「おおぉ~。こぉーれーはカエデちゃんじゃないか~。朝早くかぁーらどうぉーしたのかな?」
道化のお面をかぶっている国王がそのスーツみたいな服を着た美少年、いや美青年というべきその人物に話しかけた。
「…国王!いい加減、その名で呼ぶの止めてもらえます?」
その青年は少し呆れた表情で国王を見た。
「いいぃーじゃないーか。あ、カエデちゃん。その子が例の召喚者だぁーよ。」
「ほう…。じゃあ彼が…。」
「そーぉなるよねえー。だけどいぃーまはまだ使用人として働いぃーて貰うからねぇー。」
「了解しました。ところで国王。」
「なんだぁーねー?」
「例の召喚者のもう1人の件です。先日お伝えした通り、まだ行方がわからない状態です。しかも報告書によりますと風魔法が使えるいや、開花したとの情報です。」
「いやー、開花したんだぁーね。これはこれはいい誤算だぁーね。」
「ですから、本日の捜索は精鋭部隊送らせます。また王都にいるかもしれないので王都に行く際にはくれぐれも御注意を。」
「はい。わかりました。キャシリアス様。」
「それでは私はこれで。朝食中に失礼しました。じゃあ、期待しているからね、頑張って。」
「は、はい…。」
一体何に期待されているのかさっぱりだが、だいたいこれは厄介な期待だと察しがつく。
まあ、そんな先の話はいいとして、さっきの子は何者なんだ。こう…。なんだろう。上手く言い表せないが、何か大物?いや、違うな。何か別のオーラを感じるな…。
「…さっきの…。」
「さっきの人はキャシリアス・ラッセル・カエデちゃん。アインス王国全権力代理保持者。簡単に言うとあの人がアインス王国の政治や経済を動かしている人よ。」
マジか。てか、国王の仕事じゃないのかこれは。
「めんどうだぁーかーら、まぁーかせているぅーんだよ。」
うはっ。クソ国王全開じゃねーか。お宅の娘さんも物凄い呆れた顔してますぜ。
「そんな事より、王都に行くのだろう?気をつけるのだぁーよ?」
「わかりました。仕度をしてきます。」
そう言って俺は食事室を後にして自分の部屋に行った。
食事室を出たのを確認した国王は、
「とぉーこーろでユユちゃんに話があぁーるのだが…」
食事室に妙な緊張感が漂った。
「今日の王都での買い出しで…」
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「さて、イクトくん!出発しましょう!」
「……。1つ聞いても?」
「はい!なんですか?」
「…この生物はなに?」
馬と牛が合体した生物が積み荷を引いていた。
「これはピザという動物ですよ。」
ピザといったらこっちは食べ物を思い浮かぶが、ここではこの生物の事をいうのか。
「早く乗ってください。行きますよ。」
その動物、ピザの毛を堪能した俺は積み荷に、乗り込んだ。
さて、やっと王都に出発だ。そう俺は意気込んだ。その時はまだこの後ああなるとは思ってもいなかった--------。