11話 出会う運命
「………っん。」
「……朝か。」
小さな窓から差し込む太陽の光によって1人の少女は目を覚ました。
少女はあれから、違和感しかなかったが痛みが出てきた足を引きずりながら、街の方へと歩いて移動した。が、格好が格好だったため、これは流石にまずいだろうと思い、中心街には向かわずに、町外れにあった酒場へと行った。
そして、事情を話した。もちろん真実は言わず、都合がいい部分だけ。いい解釈が出来るように話した。と、言っても言葉は伝わるわけないから身ぶり手ぶりもしてみた。
そしたら、良さそうな顔をしているマスターが、無償で2階にある小部屋を貸してくれた。
その部屋はベットと小さいタンスだけがあり、とてもシンプルな構造だった。隣にシャワールームがそこでシャワーを借りた。シャワーを浴びた後すぐにベットに横になった。固くもなく、柔らかくもないが、どことなくしっくりくるベットだった。
そのせいか、横になったら疲れからか急激な睡魔に襲われて今まで寝ていたわけだ。
時計とかがないから、おおよその時間しかわからないが、そうだな。10時間は眠ったかな。と本人は思っているが、実際のところは15時間は眠っていた。
ゆっくりとベットから起き上がると、タンスの上にパンとコンポタージュみたいなスープが置いてあるのに気づいた。
これはあの人が良さそうな感じのマスターが置いてくれたのだろうか。と思った少女は容器に触れた。
程よい暖かさで、作ってからそう時間が経っていないのがわかる。恐る恐るスープを飲んでみた。
…イケる。やはり見た目通り味はコンポタージュに近いが少し甘味がある。だが、その甘味は甘ったるしくなく、逆に後味がスッキリしている。昨日から何も食べていなかったせいのか、余計美味しく感じる。後でこの店の店主にお礼を言わなくちゃ。そう感謝しながら、少女は食べた。
食べ終わって、お礼を言おうと思い立った少女は容器を持ち、部屋から出てすぐにある階段を降りた。そこは酒場となっているが、まだ時間が時間のせいのか、客はカウンターにいる何やら深刻そうな顔をしている。
少年1人だった。
…私と年が近そうな少年がいる。と、少女は思いながら、その少年のカウンター越しに前にいて、今その少年に飲み物を渡している、この店の店主。マスターのところへと歩みを進むた。それに気づいたマスターは笑みを見せ、何か話しかけてきた。なに言っているのかさっぱりだったから、取り敢えず、ありがとうございました。と言って、頭を下げた。マスターはポンポンと肩を叩き、容器を預かって仕事に戻った。が、何やら視線を感じる。少女はその視線を感じる方を見た。
その先には深刻そうだった少年が驚いている。
「…何か用でもあるのですか?」
一応聞いてみた。伝わらないと思うが。そしたら、その少年は席から立ち上がって、更に驚いていた。
「……えっ。なんなの。何かまずかったのかな。」
よくある同じ言葉でも意味がまったく違うあの現象が起きてしまったのかなと思っていたが、少年の一言によってその可能性は無くなってしまって、
少女も驚く羽目になってしまった。
「日本人の方ですか?」
少年が言った。
そうその言葉は何年も聞き続けてきた言語。約1億3000万人が使っている、言語。
日本語だった。
異世界の地で出会ったこの2人。
必然的に出会う運命だったのか。
それとも、何億何兆の確率の奇跡だったのか。そんなことはわからない。
だが、出会ってはいけない2人が出会ってしまった、瞬間だった。