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10話 2日目の朝


 こんなにゆっくり寝れたのはいつぶりだろうか。軽く見積もって半年…いや、一年ぐらいってとこか。何時間寝たかな。8時間?9時間?ここんとこよく寝て3時間だったからな。

 てか、寝癖がやべぇな。爆発している。直さなきゃ…。俺は髪を整えようとしてこのお高そうな超低反発なベットから体を起こすと同時に、コンコンっと誰かがドアをノックしたようだ。

 「イクト。朝だよ。起きてる?」

 その声は、とても癒し効果を持っており、声を聴くだけで疲れとかが吹っ飛ぶ。よく声優の声を聴くだけで疲れが吹っ飛ぶと言う信者がいるけど、あれ本当だわ。まあ正確には元気がでるな。

 

「イクトー?起きてるのー?」

 

いい加減、無視は良くないだろう。そろそろ返事をしなくてはな。

 「はいはい、起きてるよ。おはようさん。」

 俺は部屋のドアを開け、その国宝にしていいんじゃないかと思う声の主に挨拶した。

 「おはよ……クッ。クス…。クス…。もう…。イクトったら。クス…。凄い寝癖…。クスクス…。」

 この爆発した寝癖がどうやらウケてなによりだ。ナイス寝癖。

 「こほん。寝癖は後で直してあげるとしてとりあえず今は来て。朝食食べるから。」

 「こんな姿でいいのか?」

 今俺はやTシャツ1枚に動きやすい真っ黒な半ズボンといった格好だ。こんな格好をしても寒くないから多分ここの季節は夏だと、夏期とみてとれる。ちなみにこの服装はここに来ての貰い物だ。ここにもTシャツとかあったんだなと関心したが、まあデカデカと竜王とその二文字しか描いていないデザインは触れないでおこう。

 「よく寝れた?」

 「バッチリ。」

 「よかった…。しかし…んーん。なんでもない。クスクス…。」

 そんななんかバカにされたような気がする会話を交わしていたら、ここは食堂?

いや、違うな。いかにも貴族の皆さんが食事しそうな…。なになに。しょーくどうしつ?食事室ってことか?ここは、食事室というのか。食事室という部屋に着いた。リュシルが扉を開けると、上座に座っているこれまた、独特のパジャマ姿であるクソ国王の姿があり……。あれ?なんか微動だにしなんだけど。起きてるの?いや、起きてませんね、あれは。まったく。って、あれ?リュシルちゃん?国王をスルーしてますけど。おーい。

「あっ。ルルちゃん。イクト連れてきたよ。」

 リュシルが声をかけた先には姉様ことルルがおそらくなかにはスープなのかな?

カップをお盆に乗せて運んでいた。その光景には違和感しか感じないのだが。

 「ありがとうございます。リュシル様。………なにその頭。舐めてるの?」

 いやいや、舐めてないですし、物凄い哀れな目で見ないでくださいよ。なんか存在自体が否定されている感じがするから…。

 「まあいいわ。取り敢えず据わりなさい。朝食にするから。」

 「はい…。」

 「ルルちゃん。私も手伝おっか?」

 「いえ、リュシル様に手伝って貰うなんてとんでもありません。座って待っていてください。………手伝って貰うとかえって邪魔だから。」

 「…?最後の方何か言った?」

 どうやら、最後の姉様の一言はリュシルには聞こえていなくて、リュシルはキョトンとしている。ちなみに俺は特技の1つである、口の開き方でなにを言ってるかわかっちゃう特技があったから姉様が何言ったかわかった。他にも俺には地味に役に立つ特技があるが、しかるべき時がきたら披露しようとして、姉様。ホントに容赦ねえな。怖いわ。そして、その姉様はカップを各席において、最後に国王の席へスープ入りのカップをおき、

 「さて、そろそろ起こそうかしら。」

 そう一言言った瞬間。

 「…ぎゃああああ!!…あ、あれ?」

 「おはようございます。国王様。どうされましたか?」

 「あっ。ああ…なんだ夢か…。なんか首筋られんがヒリヒリするけどいいっか。」

 いやいやいや、さっき姉様は首筋に向けて火の魔法放っていたぞ。そして、何事もなかったように装うあの笑み。一体どっちが道化なんだよ。しかも周りもスルー。これって習慣なのか?いや、これはお決まりの習慣だろ絶対。しかもおそらく朝食を作ったであろうユユが丁度席に座ったと同時にこの茶番は終わったし。

 「さて、それでは全員揃ったことだし、いただきましょうか。」

 リュシルが両手を合わせながらそう言うと、皆リュシル同様に両手を合わせて、

 

『いただきます。』

 

 ……。

 …………。

 いや、騙された。うん。騙されたわ。だってあのカップからして、コンポタージュか何かのスープが入っているのか思ったけど、これ味噌汁じゃないですか!…けど、染み渡る。久しぶりに味噌汁を飲んだな…。はあ~。落ち着く。

 「ははあ~ん。イクトーゥくんはミソスープが気に入ったよーぉだーね。」

 「本当ですか?イクトくん!」

 「まあ…うまいよ。」

 「よかった…。お口に合って。」

 他にも卵焼きとか、鮭の切り身とか何とも馴染み深い食べ物ばかりだな。

「朝食はいつもこんなのなのか?」

 と、俺は卵焼きいや、だし巻き玉子を食した。うん。これもうまい。

 「今日はイクトくんの故郷の朝食を作ってみました。」

 「…なんで知ってるんだ?」

 「あ…それは…その…」

 なんだ?言えないことなのか?それとも…。…いや、ここで追求するのは辞めておこう。

 「はあ~。これだからクトイは…。」

 はいはい。悪かったですね。姉様よ。俺が悪かったですよ。

 「ごめん…。俺が悪かった。」

 素直に謝った。

 「べ、別にそんな謝らなくても…」

 ユユはホントにいい子だなとつくづく思う。

 「ま~あ、きょーおうは王の都でーもみぃてきなーぁよ。いくとぉ~くん。」

 確かに今日の予定はユユと、買い出しにいくのだったな。こうしちゃいられねえな。早く準備しなくちゃな。

 「なあ?食べ終わったしちょっと準備してきていいか?」

 「…は?いくら何でも早すぎよ。まあいいわ。その髪だし、準備するのよ。」

 実質一番権力がある姉様の許可が降りた事だし、部屋に戻ろうとして、ドアの取っ手に手をかけた瞬間。ドアがこっちに向かって開いてきた。

 バン。

 突然のことだから避けることもできずまたこんなことも想定していなかったから、まともに受けてしまった。少しよろけながら、そのドアの開けた主の方を見た。

 「だ…大丈夫かい?」

 凛とした姿に透き通る声はとても品があり、またスーツみたいな服装をしていてた、美少年が心配そうにこっちを見つめていた----------。

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