心がささくれているので書きなぐったもの
あの時は俺はナー、本線に出たての若造でナー。そんで最新の罐がキューロクだとかハチロクの時期よ。信じられるか?あのB6が幹線の貨物を牽いてたんだぞ、あの頃は。まあ大幹線から徐々にキューロクに置き換えられていく頃よ。後に『鉄路あるところハチロクの機影見えざるところなし』とか言われるよーになって鉄道写真マニヤが面白味がネーとか言いよった時に俺らは『マニヤのために罐転がしてンじゃねーぞ』と思ったもんだ。
おっと話が脱線した。そんであの支線のトンネル、あるだろ、そう、あのカーブの後のトンネル。そこに貨物を転がしているときに起こったことよ。B6どころか開通式以来のドイツ製の罐だったね、ありゃ。ブレーキは効きわりーワ、砂は後付けで時に砂管の封鎖が出来なくなることもしばしばなんだ。そのまま砂が出続けて走りは悪くなるし肝心の時に空になるんだ。ちょうどその時もそんな状態でよ。なんかね、ポツンと赤いランタンの光がね、路肩に見えたんだ。そりゃ停止合図だからブレーキ引ききって何とか止めてみたが、どーも誘導手とか合図者が見当たらん。轢いたかと確かめるがそうでもない。一応持ってきてたランタンに火を入れて辺りを何度探してもなんの痕跡もない。全くわからんネー、てことになって、再度走らしたんだが砂がね、邪魔して苦労したわ。
ホンでよ、それだけなら俺と助士の見違いで済むんだな。それに異常がありゃ止める権限があるからネ。異常な時に止めなんで事故起こしたら洒落にならんからヨ。それがナー、それだけで済まなかったから問題になったんだ。みんなあの時間にあそこを通る列車を牽いたときにおんなじところで停止合図を見るんだ。合図者がいた痕跡すらないってのもみんなおんなしヨ。ほいでな、俺含めたワケーのが騒ぎ出すわけよ。したら当時の機関区の生字引と言われた人がヨー、話してくれたわけよ。
あの線路が開通した当時はあのトンネルの先がなかったんだな。というかあのトンネルができる前に先に暫時開通ってやつよ。全通してねーのな。ほいでトンネル掘ったなら掘った土礫が出るわけよ。それを始末するために貨物列車を組んでたんだな。列車のけつに罐つけてトンネルの所まで推してって、土礫積み込んだならそのまま退がってくるってやつよ。それがナー、ある日土礫がこぼれて線路を支障したんで合図を出すとかそんな話になってたヨーでね。そんであの辺で合図者轢いたんだと。本来路肩に居るはずなんになぜ轢くのかネー。それはわからん。ただこんとき油燈式の前燈が消えとったとも言うから距離を見誤って避け損ねたんでなかろーかとのこと。
そのあとはどーもならんから、俺がよ、手の平に収まるよーなちーさな木彫りの仏様作ってな、あのところに置いてきたんだ。したらそんなことはなくなったね。保線の連中も気が利いてんだかなんだか祠付けよってな。
なんかネーとりつかれながら書いたわ
その方がホラーかもしらん




