25 転生女子会(という名の会議)のヒロイン考察
「王子とディーターの様子は特に変わりなかったよ」
挨拶に来たローザリンデ嬢とエリーゼ嬢と話した後、次の講義が始まるまでは特に変わりがなかった。それはローザリンデ嬢もわかっているだろう。
「ええ。ただ今後イベントが発生するとか、イベントが機能するとか、あると困るじゃない」
「困るというか、わたしたちは直接関わりないけど、なんか簡単に落とされるのも嫌よね」
「それはあるね……」
ローザリンデ、ユッテ、ジビラがどうしたものか、と話している。そもそも私はこのゲームをプレイしていない為、何処にイベントがるのかがわからない。注意点として聞いていた方がいいんだろうか。
「イチゴ君の場合はコロ商会のホルスト君に気を付けてあげたら?」
「え? なんで?」
「攻略キャラだって言ったじゃない」
素で忘れていた。
しかしホルストの攻略はコツコツタイプのようで、ひらすら話しかける、商人としての彼に用事を頼む、といったものらしい。
「でも現状知り合いじゃないからなあ」
気を付けようがない。
「そうね。でもいつ何処で知り合いになるか、わからないわ。時々様子を見てあげてね」
そもそもあの状態のエリーゼ嬢は誰かと仲良くなれるんだろうか。急に環境が変わっていろいろ大変なのは理解できるが、それにしても余りにも挙動不審だ。王子やその周辺が今はやさしく見守ってくれているが、なるべく早く落ち着いてほしいものだ。
「家政科での講義はどうだったんだ?」
「今日は前期の復習と彼女や他の科から移った子たちの紹介だったわ」
クリスタが説明してくれる。しかし今聞き捨てならないことが含まれてなかったか。
「科を移るって、出来るのか?」
聞いたことがない。
「普通は駄目だけど、防衛科の講義で大怪我をしたとか。あ、あと経営科に移るのは結構あるみたいよ。継ぐ予定の兄や親族に問題が起きた時に」
確かに致命的な怪我をしたり、跡継ぎに急に指名されたら変更するしかない。とはいっても防衛科の一年の講義で大怪我をしたという話は聞かない。もしかしたら致命的に才能がなくて転科を勧められたとかかもしれない。そんな奴いただろうか。
「まあ、そこはよくてね。エリーゼさんは不安で仕方がないって感じだったよ。ずっとわたしとクリスタの後をついて回ってたもの」
「ちょっと可愛いと思ってしまいましたわ」
ユッテもクリスタも嫌ってはいないみたいだ。
私と同じでほぼ接してないジビラはよかったね、と笑っている。だがローザリンデ嬢はちょっと困った顔だ。
「一通り躾けたのですが……。ううん、失敗がなかったのなら喜ばしいですわね。講義態度については少しお話しておきますわ。このまま二人にずっとついていては迷惑をかけてしまう」
確かにずっとついていくわけにはいかない。
「なんか他の子たちからも庇護欲はそそられるってこっそり言われてたから、嫌われなかったことはいいことかもね」
苦笑しながらユッテが答える。
「ヒロインとしての脅威は今のところありませんね」
同意するのはクリスタだ。エリーゼ嬢に関しては、結局のところ静観するしかないという結論に達した。
男と話しているのが、王子のところに挨拶に来た時だけなので、情報がなさすぎるのもある。あんなにおどおどしていて、いきなり態度が変わることもないだろう。変化があったらその時こそ要注意だ。
その後はのんびり休暇中の話や、新学期の講義での話になった。ローザリンデ嬢にチーム戦について聞いたところ。メンバーだけは教えてくれた。殿下と彼女の他は政治の中枢にいる者の近しい親族らしい。つまりは普段護衛がついている者たちで集められたということだ。勝利条件は教えてくれなかったが、もしかしてこれは護衛なしで負けないこと、が勝利条件だろうか。
私のことも聞かれたので生徒は一人で教師と二人のチームだと言うと、頬を膨らませて笑うのを堪えていた。もういっそ笑ってくれていいよ。
ちなみにわらびもちは大変美味しかった。これもユッテ作らしく、満足そうな笑みで頷いていた。
女子会(寧ろお菓子試食会か)を終えて寮部屋に戻ると、ティモとフェリクスが迎えてくれた。遅くなったことにお茶会のことを話すと両頬を引っ張られたが、そこは甘んじて受けよう。
二人のことは紹介しているが、そもそも学年が違うのであまりユッテたちと会う機会がない。加えて公爵令嬢であるローザリンデも参加してしまったので、逆に畏れ多すぎて混ざりたくても混ざれない会になってしまったらしい。何故仲良くなるのか、とフェリクスに今度は頬を潰された。




