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転生女子会の黒一点  作者: ケー/恵陽
一学年前期
20/33

19 ただいまのホルトハウス

 休暇には課題が付き物である。残念なことに。

 防衛科にも課題はある。しかし普通は故郷の騎士団での手伝いとか、軽作業とかのはずなのだが、私の手には大量の紙が握られている。防衛科の担当教師からは先日の武術トーナメントでの反省点をレポートにしろと言われた。それはよい。全然よい。だが何故か魔法師の担当外の教師からも紙を渡された。

「解せぬ」

「そりゃ、お前がなんか変だからだろ」

 隣でケラケラ笑うのはホルストだ。コロ商会の馬車で相乗りさせてもらった。今から帰郷するところだ。

 魔法師の教師には、私が魔法を覚えた経緯と今回のトーナメントで行使した魔法の理論を説明しろ、と言われた。理論とかわからないのだが。トーナメント後にローザリンデが少し説明してくれたのだが、理論はよくわからなかった。実践はわかるのだが、どうにも頭が考えようとしない。

 ちなみにあの後でコロ商会も教師陣から注文や検証について詰め寄られたらしい。検証を教師がタダでする代わりに実験的なこともすることになったとか。

「それにしても、よかったのか」

「んー? ユッテたちのこと? 連絡はするよ。王子も遊びに来たいと言っていたし」

 ユッテとジビラはちょっと態度に迷っているようだった。基本的には変わらないのだが、意識されているのがよいやら悪いやら。だがクリスタは変わらないままだ。助かった。今度三人でホルトハウスに遊びに来ると言っていた。

「そっか。まあ、それよりお前は兄貴たちからの説教を心配したらどうだ?」

「なんで?」

「すごろくもだけど、魔法の行使についてどんな覚えさせしたのか、問合せがあったらしいぞ」

 ……面倒な。いつもは干されていると言ってもいいほど干渉されないホルトハウスに関わるなんて、面倒でしかない。

 仕方がない。

 領までは数日馬車に揺られる予定なので、その間に出来る課題を進めることにした。ついでに道が悪い箇所を魔法を使ってならしておいた。靴裏の魔方陣を使えば立ったままでいけるし、範囲を設定すればそんなに魔力も使わない。なかなか便利である。

「そういう使い道、よく思い付くな」

「何事も楽にしたいんだよ、私は。それにこれは投資だから」

 悪路は誰だって嫌だ。道がよければ来る人も増えるかもしれない。だから、これはホルトハウスへの投資なのだ。


 ホルストと一緒にコロ商会へついたら、私は食糧とちょっとした生活用品を購入して、故郷への道へ行く。一日あれば余裕だ。夜営だけ注意すれば問題ない。ホルストにはまた後日と手を振った。

 そしてなだらかな坂道を登る。ひたすら登る。馬車ならばすぐだが、ゆるやかな坂道は徒歩だとなかなかきつい。しかしホルトハウスは丘の上だ。休憩を挟みつつ、道を進む。時々また魔法で道を綺麗にしながら。

 夜は獣避けの香を焚きつつ眠った。

 コロ商会には送ってやると言われたのだが、今回は迷惑かけまくってしまったので遠慮したのだ。

 ホルトハウス領内に入ると、帰ってきたんだなと思った。見慣れた風景と匂い、空気を吸い込むとホッとする。王都は面白いところだったけれど、やっぱりのんびりした雰囲気が私には合っている。

「おーい、スヴェン!」

 まったりしていると遠くから馬が駆けてきた。よく知る声に私は手を大きく振った。

「小兄!」

 下の兄のトビアスだ。

「よく帰ってきた!」

 近くで馬から降り、私の髪をわしゃわしゃと撫でまわす。帰郷を喜んでくれる、と思ったと同時に撫でていた手が頭を掴んだ。

「そんで、何をやらかした?」

 横から覗きこまれる、その顔に青筋が浮いている。めっちゃくちゃ怒っている。

「第三王子から宿泊の打診が来た。おい、スヴェン、何をやりやがった?」

 掴まれた頭に力が入る。悲鳴を上げる私はトビアスの馬に同乗しながら、説明させられることになった。

 ……舌を、噛むかと思った。


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