第五話「悪戯」
「で、結局味噌ラーメン食べて帰った……と?」
「は、はい…」
次の日、数学教師が休みと言う事で指定のプリントが終了後は各自好きな教科を自主。
だが殆どの人はおしゃべり花を咲かせる…
そして私は一応自主をしながら鈴とひよりに昨日の報告をした。
目の前にはシャーペンで遊ぶ鈴とその横に座り真面目に勉学に励むひより。
やろうと思っただけ褒めてもらいたいと言うのが本音だが
多分…と言うか絶対言ったら鈴に怒られるのが目に見えている。
もう、何でなんだろ…
「ねぇ、鈴」
私はひよりを邪魔しない様に鈴に控えめな声で呼ぶ。
「何?」
「何で恋って難しいの?漢字は簡単なのに…」
「さぁ…?」
そして私は倒れ込むように机に突っ伏す。
「この数学よりも、難しいよ…」
「そりゃアンタはね。私にはこっちの方が難題」
「鈴は勉強苦手だもんね」
だからさっきからプリントと睨めっこしてるんだもんね。
「んー、やっと終わった」
するとひよりの集中その声を共に解かれ、腕を思わず伸ばしている。
彼女は普段からは思えない程集中力が高い。
本当人の話を全く聞いてない程に…
「お疲れ、ひより」
「あれ?まーちゃん、もう終わったの?」
ほら、気づいてない。
「数学は得意だからね」
「そっか。まーちゃんは頭良いよね」
「それが取り柄だからさ?私」
「だね。」
自分で言いながらも満面の笑みで肯定されると内心傷つく…
「真冬」
後ろから声を掛けられトントンッと肩を軽く叩かれる。
その声は私の大好きな優しい声で…
「何よ、ちあ――」
私は思わずすぐ振り向くが、その直後ぷにっと頬に硬い何かが当たる。
それが千秋が持つシャーペンだと気づいたのは数秒後
「悪戯しないでよ!馬鹿!!」
私は思わず千秋の背中を叩く。
「わ、悪かったって!!」
「もう、だから言ったのに…」
「千秋は悪戯っ子だもんなー」
一条君と坂月君は茶化す様に言う
「良かったね、まーちゃん」
「本当爆発しろ」
それに便乗する様にひよりと鈴までもが口を開く。
「何が!!?と言うか鈴怖いってば!」