第一話「幼馴染」
何時もの集合場所、家の目の前にある公園の木の下
私、皇真冬は寄りかかり読書する。
これは平日の恒例と言えよう、理由は…
「悪い!真冬!!」
幼馴染の寝坊と言うやつで。
「良いよ、千秋が寝坊するのは恒例だから」
彼は逢坂千秋。
私の幼馴染であり、実は好きな人だったりする…
「お、怒ってる…よな」
「…怒ってないと言ったら嘘になる。」
ごめんね嘘だよ、本当は全く怒ってない。
少し千秋の困った顔が見たくなっただけ…
私って本当性格悪いよね。
「わ、悪かった!今日の昼、お前の好きなパン奢るから…さ?」
「…許す。」
「よ、良かった~…」
そう安心する彼を見て私は胸が高鳴る
(期待、しちゃうじゃん…。馬鹿野郎)
赤くなる顔を押さえる為、
私は鞄に持っていた教科書を放り込む。
そして私は千秋を置いて先に歩き出す
「ちょ、真冬!待てって!」
「やーだ。私まで遅刻しちゃうでしょ?」
「なっ!そこまで俺はトロくねえって!!」
そう私に小走りで追いつく千秋。
知ってるよ、昔から意外と足は早いもんね。
歩幅だって千秋の方が広くなってるし…
でも君は―
「…。」
――当たり前の様に歩幅を合わせて隣を歩いてくれる。
そんな所に、私は惚れてしまったのかもしれない
(分かんないけどさ…)