プロローグ
初投稿です
プロローグなので短いです。
よろしくお願いします!
雨が降っている。
病院の窓から外を見て、ふとそう思った。
普通の人から見たら特に気にも止まらない、むしろ嫌に感じる人の方が多いかもしれないありふれた日常の1コマ。
でも、俺は雨というものが好きだ。
1年前までは大嫌いだったのに、人の気持ちはコロコロ変わるものだと苦笑する。
「石田先生!今夜どうです?」
そう言って、お猪口を持ったポーズをする同僚。でも
「すみません、今日は…」
「あぁ、またあの可愛い猫ちゃんですかい?」
「はい。お腹すかせてると思うから。」
なるべく心配してて、申し訳無さそうな顔を装う。実はこれに毎回苦労する。
「そっか!そういえば、前にあげたあのおもちゃ。喜んでくれた?」
「それはもちろん。毎日のようにいじってますよ。」
嘘では無い。事実、前にこの同僚がくれたおもちゃを、ウチの猫は不機嫌そうにいじっている。
「では、また。」
次々にかかるお疲れ様の声を背にし、これ以上やると襤褸が出そうなので早めに勤め先の病院を出た。
中から見るよりも強くなったように感じる雨の音をBGMにして、車を走らせる。法定速度は厳守して、でもいつもよりも若干速く。
そうして辿り着いた自宅。車を降り、自動ドアのロックを解除してロビーに入る。
いつもと変わらない、何百回と通ったこのロビー。だが雨の日だけは、俺にとってはキラキラとした情景に変わる。
あの日も、あんな雨の日だったっけ――
では次回に
なるべく早く投稿します