第3話 誤認(ごにん)
王都の大聖堂。きらびやかなステンドグラスの下、国王と高位神官たちが冷ややかな目で見下ろしていた。勇者の啓示を受けたアレンの隣で、僕はただ震えていた。
「勇者アレンよ。必ず魔王を倒すのだ。そして……」
王は僕のほうを振り向いた。
「お前はアレンの親友と聞く。旅の同行者……『荷物持ち』として彼を支えよ」
国王の厳かな宣言に、アレンは僕にささやいた。
「……国の言うことなんて聞く必要はない。さっさと村へ帰れ!」
アレンは僕の胸ぐらを掴み、軽く突き飛ばす。その目は血走り、必死だった。
当時の僕は、その態度にショックを受けた。
邪魔者扱いされたと思ったのだ。
けれど、すぐに思い直した。アレンの掴む手が小刻みに震えていたからだ。カチャカチャと、鎧がかすかな音を立てるほどの震え。
当時の僕は、それを「僕を死地に巻き込みたくない葛藤」だと解釈した。
「僕は行くよ、アレン」
僕は王様の前に進み出て、跪いた。
「足手まといかもしれないけど、アレンの役に立ちたいんだ。荷物持ちでもなんでもやります!」
その時、アレンが見せた表情を、僕は一生忘れないだろう。
絶望。
まるで世界が終わったかのような顔で、彼は僕を見つめていた。




