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第14話 換装(かんそう)
「……あ、……あぁ……」
喉の奥から、言葉にならない音が漏れた。
アレンが死んだ。
僕を「守る」ために?
恐怖に震えながら、それでも勇者の仮面を被り続けて。
僕の中で、何かが切れた音がした。
悲しみでも、怒りでもない。もっと根源的な、僕という存在を縛り付けていた鎖が千切れる音。
直後。僕の背中で、リュックサックが、背中から弾け飛んだ。
バヂィン!!
それは純粋な光となって噴出した。黄金のオーラが僕の背中から、僕という器から溢れ出した奔流だった。
「……な、に?」
玉座へ戻ろうとしていた魔王が、足を止めて振り返る。
余裕に満ちていたその表情が、初めて凍りついた。そこにあるのは、理解不能な事象への困惑と、生物としての本能的な恐怖。
「なんだお前は!?貴様……!?」
アレンの死体越しに、僕はゆっくりと立ち上がる。体中を駆け巡る万能感。
涙はもう出なかった。感情という機能が、システムによって最適化されていくのを感じる。
ああ、そうか。僕は荷物持ちじゃなかった。僕こそが、魔王を殺すためだけに作られた「戦いの鬼」、勇者そのものだと、そう確信した。




