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第12話 配役(はいやく)
「痛いよ……怖いんだ……」
それは、旅の間一度も見せたことのない、ただの少年の顔だった。村で膝を擦りむいて泣いていた頃と変わらない、弱々しいアレンだった。
「本当は……、ずっと怖かった。任命式の夜も、旅の間も……。足だって、いつだって震えてた。逃げ出したかった……」
「アレン……?」
「でも、逃げられなかった。俺が頑張らないと……お前が、壊れちまうから」
アレンの視線が、僕へと向く。その瞳には、今まで僕が見たことのない、悲痛なほどの懺悔の色が浮かんでいた。
「……ごめんな。俺たちはずっと、お前を騙してた」
「え……?」
「俺は……勇者じゃない」
僕の思考が停止した。




