表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンナのまほう -in The Polar Night Veil-  作者: 白ノ汽車
序章〝Polar Night Veil〟
3/11

No.3:ヒバリの聲

 ……熱い。眩しい。おでこに、白っぽくて重たい熱を感じる。

 ううん、全身かもしれない。おでこだけじゃなく、背中や足元にも。耐えきれなくなって動こうとしても、なんだかうまく動けない。そのうち怖くなってきて、息を吸い込んだ。

 すると、手や肩をぐっぐっと押され始めて――耳元で、人の声がたくさん聞こえる。

 急にハッと目が覚めた。瞼に飛び込んできたのは、木造の格子天井を埋め尽くす、人の顔。

「あ、起きた!」

「おいっ、誰かハーロルトさま呼べ!」

「先に先生呼んでこい!」

 どっと流れる滝ができあがったときのような声がわたしの周りを取り囲み、わあっと湧き上がったことに驚いて、ただあたりを見回した。人……だけど、兵士、という人々のように見える。鎖帷子を着ている人がちらほら、部屋の中にいた。

 そのなかでも、わたしの一番近くにいて――緑色の目を潤ませている少年が目に留まった。肌が汗ばみ、まぶしい金髪がくしゃくしゃになっている。

「大丈夫か? どこか痛まないか?」

「いたく、ない……けど」

「うん」

「暑いかも……」

「わかった。それなら水でも飲もう」

 ああ、水か、そうだ、わたしが欲しかったのは水だったんだ。

 なんだかホッとしてゆっくり体を起こすと、その少年はわたしを支えて、枕をもう一つ背中に入れてくれた。このベッドフレーム、硬くて気になったんだ。ありがとうと呟くと、その子の目から涙がぽたっと落ちる。

 泣いちゃった。どうしよう。抱きしめてあげるしかできないよ。初めて会ったのに、この子はなんだかすごく怖かったのかな。

 抱き寄せて背中をポンポンと叩くと、どうしたらいいかわからない彼の手が宙を泳いだ気がした。そっと離してお互いの顔を見合う。

 綺麗な苔色の瞳だね。瞳孔の周りに金色の網ができている。

 瞳の涙が引いたギルベルトから水をもらい、わたしの頭の中も冴えてきた。先生と呼ばれる人が戸口から入ってきたところで、兵士の壁がその人を中心に割れていく。

「おお、良かった、起きてくれて。自分の名前を教えてくれるかね?」

 先生、と呼ばれた人がわたしのベッドのすぐそばの椅子を引き寄せて座ると、兵士たちは部屋を出ていった。金髪の子も。急に一人にされると不安になってしまい、ちいさな声で名乗った。

「アンナ……です」

「アンナさん、きみはどこに住んでいたのかね?」

 住んで、いたところ。今まで、どこに? わたしは。



 あの少女が目覚めたことを聞いたのは、厩舎の近くの井戸でセレンに水を飲ませていたときだった。兵舎に到着し、空の異変や少女のことをあらかた報告し終え、セレンもやっとひと息つけたのに……兵士がわあわあ騒ぐから機嫌が悪くなっている。

「おれより、先生には?」

「もう呼びました」

「ご苦労」

 ああそうだ、ギルベルトが少女につきっきりで離れなかったから、そのままそこに置いてきていたのを思い出した。回収しないと。

 いや……それより、寮まで帰らせないと。もう夜の十時は過ぎているだろう。

 休日だったのが幸いしたが、それでもしっかり門限破りだ。グラズルという馬は疲れて寝てしまったし、明日首都まで行く者に連れていくよう頼んで、ギルベルトの方は騎士団の馬に乗せて帰らせなければ。

 少女が寝かされていた傷病者用の大部屋からぞろぞろ出てきた兵士のなかに、光の下で輝いて綺麗だった金髪をぐしゃぐしゃにかき回され、酷い有様になっているギルベルトを見つけた。

「鳥の巣みたいだな。帰るんだから仕度しろ」

「はい……」

 どうやら鼻声だ。風邪じゃなくて、泣いた後のように。

 すると兵士の一人が「ギルくん泣いちゃって、ぎゅってされてましたよ~」と、おれに告げてすれ違っていった。

 泣いちゃったというギルベルトはといえば、その兵士の背中を、金色の前髪の下で鬼のように睨みつけている。

「いまのは、彼の嘘です」

「そうか」

 そういうことにしておこう。騎士の名誉のために。余程からかわれるのは嫌いらしい。

 油の火が燃える廊下を連れたって歩き、ギルベルトの支度が終えたのを確認し、厩舎で走れそうな馬を見繕って見送った。

 暗闇でもよく見える丸い頭が離れていくのが、今日ほど近かった日はない。

 さて、おれは眠らないからな。あの少女の様子でも見に行こう。そろそろ軍医の診察が終わる頃だ。病室へ向かおう。

 この兵舎はエルヴァスティ領の端の方にある農村、ムーエン村のはずれに位置し、コの字型の平屋建てになっている。ここが騎士団の本拠地というわけではなく、ただの駐屯地の一つだ。

 端から端まで大した距離では無いが、今夜は各地から来た伝令が行き交っていたり、こちらから飛ばしたりと……人が多い。

 たまたま起きていて空の光を見た村人たちも、先刻になにがあったのかと訪ねてきている。

 病室まで向かう道で他領の者や村役人とすれ違ったから、木造なだけの簡素な廊下がいつもより長い道のりに思えた。

 しかも……病室の戸口で。しっくり来ない顔をした軍医が出てきて、白衣の襟を直している。

「先生」

「ああ、ハーロルトくん。今、診察が終わったよ」

「あの子どうでしたか?」

「いやあ、特になにもないよ。採血は断られたがね」

 それは……そうだ。打撲もしていなければ、血なんかどこからも出ていなかったし、人間のいう血らしきものは通っていない。セレンにも。

 そして、どうも自分の〝アンナ〟という名前以外、頑なに教えなかったようだ。

 意識ははっきりしている。なにがあったのかも、覚えている様子なのに。

 なにか事情がある子だ、と軍医は言ってから自分の仮眠室に向かっていった。

 と思ったら、くるりと振り返って「今夜はもう寝かせてあげなさい。きみもすることが無くなったらすぐ休みなさい」と言って、再び歩き出す。

 先生の背中が、なんだか丸くなったような気がした。片手間に村の子どもに馬術を教えていた彼と出会ったときのおれはとっくに大人だったが、言うことを聞かないセレンを連れて会いに行ったものだった。子どもたちに混ざって、大の大人が一人。

 先生は休みにいったし、病室ではあの少女も寝ているだろう。おれは……眠らないが、武装は解いて一人で過ごそうか。

 たしかに今日は疲れたし、兵舎の人員は足りている。セレンも休ませてやりたいから、領内の城下町にある自宅へ戻るのも無しだ。

 ただ、兵舎にある寝床は、ちょっと使いにくいな。ベッドの並びがチーズ屋の熟成庫みたいになっている大部屋しかなく、一般兵士たちが騎士のおれに気を使う。

 このムーエン村の宿屋はまだ滑り込めるかもしれないな。日付が変わるまで酒瓶を持って起きているおやじの宿屋なら。

 兵舎の表門には村人や伝令がいたので、足音を忍ばせて裏門から出た。目的通り、度数が高い酒を持って起きていたおやじの宿屋の一室を借り、きしむ椅子に腰掛ける。

 そして、耳を澄ませた。

 木々のざわめき。フクロウの声。ネズミや猫が走る音。起きている村人の話し声。それらがザワザワと耳の中から侵入し、全身をくまなく満たしていく。

 眠らない夜は、こうして音を聴いていた。きしむ木の家、小川の音、宿屋のおやじが自分のベッドへ寝に入った音。

 村中の音が入り乱れ、気づけば潮騒のように一つになっている。村の音は、自然と人間の音だ。

 一人、静かではない夜を過ごすのが一番安心する。これはおれにとって、眠るのと同じことだった。

 やがて朝の足音が聞こえる。宿屋の奥さんがパタパタとベッドを整えて起き出し、何匹かのヒバリが仲良く鳴き初めて。

 そろそろおれも兵舎へ戻ろう。時計の針は四時を回って、少し過ぎていた。

 宿屋の階段を降りていき、まだ誰もいないカウンターに部屋の鍵を置いて返した。代金は泊まるときに支払ったので問題ない。

 誰かが躓きそうな位置に転がっていた酒瓶をテーブルの上に置いてから、おれは宿屋を出ていった。

 朝焼けすら薄暗いが、それでも朝の方がずっと明るい。地面に影が落ちるのだから。

 テオセアのヒバリが鳴いて飛んでいく空には、雲一つ無かった。おかげで特に明るい朝である。木々と草むらの青いにおいがスウッと鼻を通っていく。

 空の上の方は青暗いが、地平線付近は桃色だった。上に向かって階調的に紫色へ変化し、ヴェールの遮断で太陽光は半減しても、その向こうにある光は変わらず白いことを空が教えている。

 坂がほとんどない緩い道のりを歩いて、村の土地の区切りを示す壊れかけた木の柵を跨いで越えた。

 やや小高い丘に兵舎は建っており、そのすぐ横に物見櫓と、丸太を組み上げて高く造られた塀がある。

 塀の手前には人口の堀が深い溝を造っており、桟橋は現在上げられていた。夜間のうちに伝令が来なくなった証拠である。

 まばらに点在していた兵士たちの一人がおれに気づいて敬礼をしたので返してやると、他の兵士たちも銘々の場所から集って並び「おはようございます!」と挨拶してきた。

「おはよう。昨夜はご苦労さまだったな」

 まだ交代前の面々だと、すぐわかった。ちょっとした疲れは見えるが、目が活き活きしている。忙しない不寝番時はあちこちを動き回れるから、多少の仮眠明けの方が余計に疲れを感じるものだ。

 朝でも活気がある兵舎に入ってから、まず顔を洗って軽く髪を整えた。

 そして厩舎へ向かい、セレンに朝の挨拶がてら鼻や頬を撫でて口づけをする。

「おはよう、セレン」

 厩舎で眠れただろうか。セレンではなくて、他の馬たちのことだ。

 隣が空いている角の部屋を借りたのだが、向かいの馬が部屋の角に頭を隠し、尻をこちらへ向け、横になって寝ている。

 しかも、空いていたはずの隣の部屋には兵士用の乗用馬がいた。栗毛のその子はセレンを中心に同心円状で放たれている天馬と精霊の威圧感を察知し、どうも落ち着かない様子だ。

 栗毛の馬は部屋の壁に沿ってウロウロしたり、出たそうに前肢で地面をかいている。馬のこういう仕草は〝前がき〟というが、あまりやると蹄が痛む。

 おれの手を食みたそうに鼻をこすりつけているセレンに目線を戻した。

「セレン、放牧へ行こう。好きなところまで走ってきていいぞ。おれが呼んだら来てくれよ」

 おれの「放牧」の一語だけでハッとして首を上げ、誰よりも豊かになびく尻尾を左右に振った。よろこんでいるな、かわいいやつ。

 厩舎の鍵を開けてセレンを出すと、馬具がなくて身軽な明るい朝の放牧で精霊の力が高まっているのか、蹄どころか全身の黒い毛並みが薄明るく光っていた。

 セレンは準備運動のような常歩(なみあし)からすぐ速足(はやあし)になって駆け出し、厩舎の裏手を突っ切った。

 堀から丸太の塀を駆けて、兵士たちのどよめきを受けながら草原地帯まで飛ぶように走っていったはずだ。

 おれの夜討ち朝駆けの拠点にしているこのムーエン村の兵舎から、休ませたセレンをこうして放つことがたまにある。

 馬の精霊であるセレンは、少しの間なら空中を駆けられる蹄を持っていた。

 あの堀も、おれの愛馬にとってはなんてことない幅である。

 いまは天馬ではないから飛べないが、丸太塀ほどの高さなら二度か三度、壁面を斜めに跳躍すれば跳び越せるのだ。

 セレンの軽快な蹄の音が遠ざかるのを聞き届けてから、おれは兵舎の裏口に回った。すると、勝手口の方からこの兵舎の管理を任されている兵士長の男が出てきた。

 赴任してきたばかりの彼のことはよく知らない。寝起きではないしゃっきりした顔の兵士長がこちらに気づき、朝の挨拶もそこそこに「あなたが保護したあの少女なんですがね」と切り出す。

「晩は巡視がぐっすり寝ていることを確認したのですが、先ほど巡視が行ったときには、とっくに病室からいなくなっていまして……。いま数人が捜索を」

「わかった。おれも探してみる」

「ご協力感謝します」

 保護した子どもの脱走か、たまにある。ちいさい子ではあるまいが、焦りを隠していることが兵士長の足取りでわかった。いると思っていた者の不在は危険だ。規律的な軍隊の管理者においても、人道法による一般市民の保護的な観点から言っても。

 とりあえず病室へ向かうとしよう。木造の廊下に聖火のランタンは掲げられておらず、ランタンの熱で暖かい場所は、食堂と病室を半径に収める……このあたりだけ。コの字の突き当り、南向きの玄関がよく見える大きな窓枠がある。

 長靴や鉄靴の金属音が行き交う廊下の袋小路で、おれは耳を研ぎ澄ませた。

 拾う音は金属音や他の雑音ではない。おれが選別する音は、革か布か木製の靴、あるいは裸足の。

 この兵舎には、女性兵士と少年の従者がいない。食堂に従事する者にも。だから必然的に、女性や子どもの足音や気配は一人に絞られる――はずだが。

「……いないな」

 兵舎に一人もいない。とっくに出たか。たしかに迷う構造ではない。兵士がとっくに捜索に出ているということは、屋外のトイレでもないだろう。

 それなら目撃情報があってもおかしくはないはずだが、おれが得られた手掛かりは、あの子が寝ていたところは綺麗にベッドメイキングされており、冷たかった……という軍医の証言だけだった。

「ありがとう先生。すぐ見つけてくるから心配しないでくれ」

 そう言っても軍医の顔は翳っていて、皺が増えた指で手の甲をさすっている。なにか言いたげな顔をしていることに気づいて、踵を返し掛けた足を止めると、彼は「夜中に、アンナさんの脚を診た」と短く答えた。

 医務室を照らす蠟燭の火の先がチリチリと細くなる。

「あの子の左脚は、ハーロルトくんと同じ……傷口を」

 軍医は、目の奥でおれのかつての姿を思い浮かべているはずだ。

 おれは左頬の傷を蠟燭の明かりから隠すように指でなぞる。これは、騎士にもなる前のある冬の日の夜、盗賊の罠の弓矢にかかって引き裂かれた瘢痕だ。

精霊(おれ)は、皮下組織がヒトのものと違う」

「そうだね、最初は驚いた……。昔、きみも採血を断ったね」

「先生、あの子のことをあなたに隠していたわけじゃない。多くの人間に精霊だということがバレて、遠くに伝わって神殿まで届いたら……」

 軍医は、うん、と声なく頷いた。静かな部屋だと、おれはたまに、心音も聴こえる。先生の心音は、少しゆらぎ、弱々しい音だった。

 神殿に伝われば、あの少女はきっと招かれるだろう。夜空を祝祭の日のように明るくさせたほどの流星の正体が、なんとなくわかった。あれはアンナという精霊の光だ。それほどまでの力は、おれにも、セレンにもない。

 そんな精霊がいまのテオセアにいることが公になれば、新たな巫女か、それより上の象徴として……祀り上げられる。否応なく。

 最後の〝神託の巫女〟が光の粉になって消えるまで――伝統という名の因習で――そうであったように。

「このまま、わしたちにも所在がわからんままでいいんじゃないかとも思うし、それでも魔物や盗賊にやられてしまわないかとも思うんだ」

「……先生、よくわかるよ」

 だが、どうするかは本人を見つけて、意思を確認してからだ。そして、このムーエン村を離れて、家に帰るなら見送ろう。必要ならおれが送り届けよう。ただの人間の少年少女を保護したときのように。

「おれ一人で探してくる方が騒ぎにはならない。他の捜索の兵を戻してくれるように言伝してもらえるだろうか」

「もちろん。気をつけるんだよ」

 軍医は、戸を閉め切る瞬間までおれを見送った……という気配を、背中で感じた。

 薄暗い廊下を後にして兵舎を出たおれは、村を見渡しながらアンナという精霊の所在を探す。

 そう遠くへ行っていない……といいんだが。精霊というものは、見た目の大きさと、実体としての質量が違う。おれもセレンも身軽なのはそのせいだ。

 だから甲冑も軽い方が好ましい。動きやすくて。

 村の道を歩いて耳を澄ませつつ、脳裏では身軽な精霊が好みそうな場所をいくつか挙げた。

 おれなら静かで小高い場所、セレンなら広い場所だ。少女の体の大きさ的に、馬が思い思いに駆けられるほど広くなくてもいいだろう。

 では、子どもが集まる広場の遊具場なら?

 そちらへ行くと、まだ子どもたちは朝ごはんもまだの時間のようで、広々とした芝と砂場を囲う柵の中は静まり返っていた。

 木の上でヒバリが一匹、奏者が軽快な笛を咥えて転がすように、一定の抑揚と変化をつけながら鳴いているだけで。

 音から感情が伝わることがある。これは呼び鳴きだ。雄のヒバリが雌を呼ぶ声は、テオセアでは春によく聞こえる風物詩である。

 昔からヒバリは、民はもちろん王家にもよく愛された野鳥だった。

 今から三代前の女王は、末の姫君のために焼き菓子を考案したほどだ。

 それは〝ヒバリの焼き菓子(レルヒェン・クーヘン)〟といい、王家や貴族の菓子だった。

 ヒバリのかわいさを、末の姫君……カタリーネ姫になぞらえており、高い原料が使われた焼き菓子である。

 考案当初は、ヒバリを象った美しい曲線の彫りと、かわいらしい丸みのある型に生地を流して焼かれたものだった。

 現在は、彫りが少なく簡素な小鳥型で、王侯貴族が食べるものとは違う質の原料が使われた焼き菓子である。

 その理由は、このヒスタル大陸に住む諸民族による反乱だ。

 百五十年前に起こった〝テオセア文化改革運動〟を経て、テオセア自治領の諸民族との異文化交易が始まった。

 しかし、百十五年前のヴェール出現後を契機に、その異文化交流の黄金期は終焉を迎えた。テオセアに侵攻した、諸民族の反乱によって。

 自治領を持つ諸民族の首領たちが決起し、当時玉座に在ったテオセアの王に、一族伝統の〝神器〟と呼ばれる弓矢を向けたのだ。

 しかし、王は弓矢で肩や太腿を射られても、騒ぐことなく静かに立ち上がったという。

 すかさず近衛騎士団が出動して首領たちを拘束しようとしたが、腹の底から出す怒声で彼らを止めたのだ。

 そして、玉座が鎮座する壇の階段を、一段一段降りる。武器を下げた民族の目に焼き付けさせるように。

 白く煌々として燃え尽きない〝劫波の聖火〟から分火したシャンデリアが、玉座の遥か頭上を並んで囲む、国王の壇を降りたのだ。

 聖火のシャンデリアによって、天からの光が射し込む光景を模した台座を背景にし、逆光になった王が自らの陰影に沈む。

 王は、謁見の間に響き渡るほど力強く、こう宣言した。

『我が槍は依然として天を向き、狙うべきは〝襤褸の魔法使い〟である!

 貴殿らが耐え兼ねた理由も聞き及んでいる! 日照不足による不作、心身の衰弱、病、貧困……治安の悪化。

 ヴェールが無ければ生きられたはずの人口の、なんと多いことか!

 ――だが、我は変わらず、ヒスタル大陸全土の先住民族の自治と交易を約束し、新たな誓いを立てる』

 それは、反乱民族への〝不殺の誓い〟。

 騎士である王が左手で鞘入りの剣を掴み、表に国章、裏に星の刻印が施される、剣の(ガード)に額を当てた。

 その一連の動作は、紛れもなく〝王による、騎士としての誓い〟だった。

 騎士の誓いは、決して破られない。

 彼の王もまた、幼少期に騎士から騎士道を学んだ者である。

 平民階級の教養である騎士道を尊び、国学として一般教養に持ち込んだ人間であった。

 おれが卒業し、ギルベルトが在籍している士官学校が創立した由縁も彼である。

 晩年の王は、騎士道を一般普及するために、テオセア全土から老若男女問わず高名な騎士と教師を集めた。

 かくして、騎士道は学問として国民に開かれた。〝騎士学〟と題する学問として、騎士道を体系化したのである。

 そうした功績によって、死後に〝賢主〟と呼ばれた――テオセア第三十九代王ディルガドの誓いによって、七日七晩の終戦会談が行える運びになり、他民族の反乱を無事和解に持ち込んだ。

 そして〝聖火のランタン〟以後、再び他民族との商業や文化交流が盛んになったのである。

 型や材料を家庭向きに変えた新しい菓子は、庶民に行き渡ったばかりではなく、今では他民族も食べられるようになった。

 ……ヒバリの焼き菓子(レルヒェン・クーヘン)、買ってこようか。あれは子どもなら誰でもよろこぶような菓子だ。

 甘い物が好きだといいが。誘引餌としてちょうどよさそうだ。

 ヒバリが木の枝から飛び立った。ここで鳴いていても、相手の雌が見つからないようである。

 おれも……ヒバリのように番うわけではないが、失踪した少女が見つからないんだ。名前をアンナという。

 薄闇の空を飛んでいくあのヒバリにも探してきてほしいくらい、足取りが掴めない。

 アンナは精霊だが、きっと気配を隠すのがうまいんだな。

 それとも……魔法使いだったりするのだろうか。

 かつて、魔力が強い精霊は、魔女王ワルプルガの祝祭の日には魔法使いとして人々の前に現れ、奇跡や美しい幻を見せて楽しませてくれる存在であった。

 普段は正体を隠し、人々に紛れて生活している魔法使いの精霊たち。もうヒスタル大陸にはほとんどいないだろう。

 彼らは大体人型で、動物型でも人語を解して話す。

 かつてのテオセアには、ワルプルガの祝祭の日にやってくる魔法使いが十二人いた。

 名も知られぬ魔法使いたちのなかのたった一人だけが、いまもヒスタル大陸に残っているらしい。

 ヴェール下で強い力を持つ精霊が存在することは困難なのだ。

 ヴェールが出現した日、十一人の魔法使いたちは、〝襤褸の魔法使い〟による黒い茨の魔法に絡め取られて、七日七晩悶え苦しんだという。

 そのうちの五人は……成す術なく光に還って、消滅した。

 生き残りの六人は、もう一つの大陸〝ドレフティア〟へ向かったのだ。ヴェールを越えられたかどうかまでは、後世に伝わっていない。

 記録が無いとしたら……魔法かなにかで越えられたのではないかと思う。

 ヴェールがあっては、船すら行き来も難しいはずなのに。

 あの日の流れ星は、ヴェールがあるはずの雲の向こうから、光り輝いて駆け落ちてくる馬の軌跡のようだった。

 それほどまでに精霊の力が強いアンナは、一体どうやってエルヴァスティ領の湖へ?

 ……ああ、考え込んでしまった。眠らない夜のように、音を聴いて情報収集するはずだったのに。

 ふと顔を上げると、遠くの高原に白樺の木が並ぶ地帯が見える。夜のような朝でも、白樺特有のシルエットはわかりやすい。

 向かってみるか。

 菓子屋なんかまだ開いてないし、虱潰しに。

 わかっていることは、人のいないところにいるということだ。手負いの精霊だからな。

 保護されたって、一度や二度なら脱走する。おれはそうだった。

 無事に見つけて、こういう話をできたらいい。



 ……この国、朝が来ない。

 そう気づいたのは、白樺の森林を抜けた先にあった大きなダグラスファーの上に登って、太い枝に腰を掛けて……だいたい一時間くらいのこと。

 この木、周りのダグラスファーより頭を抜けて高い。きっと根元に動物のお墓があるんだね。ごつごつした樹皮の隆起を指先で撫でた。

 朝が来ない国で木が育つのは不思議だ。空にかかる〝カーテン〟は一体なんだろう。

 薄黒いあれが、夜明けを過ぎた太陽の光を大きく散乱させ始めている。

 ちいさくなった白い太陽が、やがてその白さを失って、赤や紫の淡い色あいだけを残して消えた。そんな空の上方から、暗い夜が迫っている。

 こうして空を観察していた。木々が、草原が、村の家々が、満ちていく水のような夜に埋もれていく。

 すでに風も冷たいが、精霊(わたし)の体温は奪えない。昨晩いた人間の家屋が暑かった理由がわかった。

 分厚い壁の中で火を焚いて暖めないと活動できないのだ。

 そこまで思い至ったとき、木々の枝葉がざわめく音に紛れ、ざくざくざく……という規則的な足音に気がつく。

 人間。……違うかも。これは微弱な魔力の気配で、足音はその実体だ。

 太い枝に腰を掛けていたので咄嗟に動けず、幹の後ろに体を隠し、覗かせた片目だけで様子を伺う。

 すると、茂みをかき分けて、地面の小枝を踏みつけてパキンと音を立てた男性の黒い頭が見えた。上から見ると、毛並みは誰でも熊かヘラジカのよう。

 あのひとは……ここからじゃ遠いけど、なんだか狼のような顔立ちをしている。鼻筋と目が鋭く、くっきりしていた。

 彼はわたしがここにいるのを察知してから来たのか、その瞳は迷いなく真っ直ぐにわたしを見つけた。この大木の根元で声を張り上げる。

「……降りてこないか?」

 降りたくはない……けれど、彼は人間ではなさそうだった。人間のように振る舞っているものの、精霊同士は眼で繋がり合う。

 幹の後ろから半身を出し、わたしは「降りるから離れてて!」と叫んだ。彼が後退したのを見てから、わたしは右脚だけで飛び降りる。

 しっかり着地したときにふらついたが、木の幹を支えにして横を見ると、精霊の彼はわたしに伸ばしかけた片手を下ろしたようだった。

「びっくりした……身軽だな」

「うん。片脚がなくても平気だよ」

 彼は膝から下がない左脚に目線をやってから「おれはハーロルト。迎えにきた」と言い、わたしに自分の右腕を差し出す。

「わたしはアンナ」

「アンナ、つかまって歩けるだろうか」

「つかまらなくても行けるよ」

 ここまで来られたのは、魔法をかけた箒に乗ったから。ダグラスファーの幹に立てかけておいた箒に手を伸ばすと、吸い寄せられてやってくる。

 ちょっと借りちゃった、と、ハーロルトに箒を掴んで見せた。

 横乗りになって低空飛行をしてみせると、彼は「アンナは魔法使いなんだな」と、箒の穂からチラチラと舞い消える粉状の光を目で追う。

 ハーロルトについていきながらゆったり飛んでいると、行き先を「兵舎じゃなくて、村を回ろう」と告げられた。そして、次に続いたのは「まだ菓子屋が開いてないから、時間を潰そう」だった。

「……あなたはお菓子屋さんへ行きたいの?」

「ああ。それとも、魔法使いなら菓子も出せたりするのか?」

 ななめ後ろからだと横顔も見られない。でも、なんだか微笑んでいるような気がする。

 彼は雪原の狼のような眼だと思ったけれど、声色は穏やかだった。

「どこか近くに用意があるなら呼び出して食べられるけど、ゼロからは出せない」

「そうなのか」

 お菓子の形だけでいいなら……出すというより、空間に浮かぶだけの幻を見せられる。

 でもそれは、わたしの得意じゃない魔法だった。やってみても、焼成前に湿気て崩れた粘土の塊のようになるだろう。

 一人分の足音が森の獣道を行く。その後ろから、音のない箒がわたしを運ぶ。湿気がない乾いた空気が心地いい。

「寒くないのか?」

「寒くないよ」

 ハーロルトは寒いのだろうか。わたしは寝間着だけだけれど、彼は兵士のような鎖で編まれた服の上に、革のベストや毛皮がついた長袖のジャケットを着ている。

「あなたは精霊なのに寒いの?」

「おれは魔力があまりない」

「そっか……」

 魔力は、光、熱、炎――そういう〝現象の力〟で、時には、それらそのものだ。

 そして実体をもつ〝現象〟が精霊だ。存在そのものが光で、熱くない熱、燃えない炎だ。

 つまり、精霊の体はすべて魔力で構成されている。

 高密度の魔力が物理的な質量を持って現象したとき、触れたり触れられたりできるのだ。

 ……けれど、わたしは違う。

 そして、この彼も、ヒトの皮膚を持っている。左頬の交差した傷は、新しい皮膚で塞がっているから。

「聞いてもいい?」

「なんだ」

「あなたの生みの親は、どちらが人間だった?」

 わたしはね、お母さんだったらしいよ。そう言う前に、ハーロルトが「父だ」と答えた。

「父がもっと東の国の人間で、母は父と同じ国の、人型の狼の精霊だった」

 人型の? 力が強い精霊はどんな形にもなれるんだね。きっとわたしより魔力が高くて、長生きしている精霊だ。

 白樺の間を縫うような獣道が暗くなっていくが、そろそろ開けてきそうだった。ハーロルトは足を止めて振り返り、「箒に乗っているとまずいから、降りてくれ」と手を差し出す。

「まずいの?」

「魔法使いはもう、この大陸には一人しかいない」

「……どういうこと?」

 わたし……のことだろうか。悪夢から急に起き上がったときのように、心臓がどくりと脈打つ。

 箒から降りて気づいた。残った両膝が震えていて、ふらつきそう。背中に嫌な風が入り込んだように、居心地が悪くて肩を丸めた。

 ハーロルトがわたしの異変に気がつき、屈んで「おぶっていこう。嫌なら手でもいい」とわたしの手を取ろうとする。

「どっちもいいよ、平気……」

「いいや、魔法を使わずに向かわなければ。……この国のことを、先に話させてくれ」

 どくどく、と不安定に脈打つのは、この胸の奥だけではなかった。左脚の断面も。いままであったものがすっぱり消えて、あったはずなのに、と、風が吹き抜けるたびに悲しく痛みだす。

 ――エルフィ。エルフィに、会いたい……。



 アンナに〝ヴェール〟のことや、神殿の事情を話している間、彼女は悲痛の面持ちで聞いていた。

 ヴェール出現以後、消えた魔法使いの代わりと、ヒスタル大陸に残ったたった一人の魔法使いを、国と神殿が求めている。

 魔法使いを探しているのは、テオセアだけじゃない。隣国のタハティラもそうだ。この二国に西の大国〝帝闕アダマシア〟を合わせたヒスタル三大国家が……。

 偽物も大勢出て全員が検挙されたわけだが、精霊同士なら見ただけでわかるほどに、アンナは魔力が強かった。紛れもなく本物の魔法使いである。

「……だが、アンナはヴェールのことを知らない」

「うん」

「そういえば、何歳だ?」

「……十五」

 これでハッキリした。ヴェール以後に生まれたなら、彼女は今まで国々が探し求めた――襤褸の魔法使いを除く――〝大陸唯一の魔法使い〟ではない。

「他の魔法使いに、心当たりはあるだろうか」

 さらに、アンナ自身のことはまだ一つも聞いていない。

 ここから話を聞きだせたら良かったが――彼女の顔色が悪くなってきた。精霊にも心音があるから不思議である。片親が人間のおれたちは〝半精〟とでも呼ばれるべきだが。

「話したくないか」

 アンナは頷く代わりに足元に視線を逸らす。そうか、なら無理にとは言わない。

「菓子屋に行こう。おぶる」

 松葉杖のない片脚歩行じゃ、どこで転ぶかわからなくて危なすぎる。

 しかし、おれがしゃがもうとしたところで、アンナは握りしめていた箒をずいっと差し出した。

「これ……脚に結んでほしいな」

 箒を、仮の義足に? 仕方ないか……。なぜおぶさるのを嫌がるんだろう。

 そう思いながらも、腰に巻いていたナイフ用のベルトを引き抜いた。そして、ハンカチを当て布にし、箒をアンナの脚部にくくりつける。

 高さの調整が難しいな。アンナはおれの肩に手をかけるのも控えめで、しかも箒の穂をかゆそうにしている。やりにくい。

「きつくないか?」

「もうちょっときつくていいよ」

 ベルトの穴、もう無いぞ。二周もしたのに。

 非推奨用途向けには少なくて当然の穴にベルトの尾鋲を通すのはやめにして、紐や平帯のようにギュッと結んだ。

「あ、ちょうどいい」

「そうか……?」

 ちっともそうは見えないが。この村のカカシだってもっとマシな脚をしている。

 アンナは履き慣れない靴の踵を鳴らすように箒の柄の先で地面を軽く叩いてから、その場でゆっくりターンして見せた。

 菓子屋のあとは義足だな。兵舎の倉庫にあるだろうか。

 再び連れたって歩き出すと、二人分の足音に混ざり、トットッという箒の柄の音が鳴る。アンナは脚を引きずるように歩いているが、つまずきそうなところは避けていて器用だ。

 ゆっくりとした歩調に合わせてのんびりと村へ戻ると、菓子屋の開店時間まで昨晩おれが泊まった宿屋で待たせてもらうことにした。

「朝飯頼んでいいぞ」

「ハーロルトさんは?」

「おれはいらない」

 というか、基本不要だ。食べずにいたら不審だったり、失礼だったりする会食時には食べる。

「アンナは食べるんだな」

「習慣になっちゃった」

 アンナは宿屋の従業員に朝の定食を注文した。習慣になっちゃった、という理由も知りたいが、そのまま窓の外や宿屋の中を見回し始める。

 穴の空いた天井を色が似ただけの種類が違う木材で塞ぐ突貫工事も、枯れかけの観葉植物も、その鉢から青虫が這い出すのもばっちり見つけたようだ。

「趣があるんだね」

「ここは朝と昼はいつも空いている」

 宿屋兼定食屋、比較的混み合う夜は酒場だった。壁にかけられた、タハティラの無名の画家による絵画が一番いい調度の店である。剥げかけた金メッキの額縁のなかで、発光するような肌の踊り子の肖像画が微笑んでいた。

「この国、朝も昼もわかんないよ」

 アンナは絵画を見ながらそう言った。たしかに、この大陸では時計が二つ必要だと揶揄されるほどに。

「生まれはドレフティアなのか?」

「ううん、タハティラ……って聞いた」

「誰から?」

「……育ての親、で、魔法の先生」

 後半はひっそりとした声で告げたが、ホールの窓際の一番端の席で、さらに壁一枚向こうの厨房で調理の音がするだけのこの空間では充分な音量である。

「生みの親は?」

「よく知らない……。街路の影で拾ったんだって」

 十五年前なら、テオセアもタハティラも治安は最悪だ。おれが騎士になった十年前が底打ちだったようだが。

「アンナ……きみはどこから来た?」

 痺れを切らしたわけじゃないが、なにかの流れで尋ねないといけないような気がした。おれもつきっきりになれるわけじゃない。今日は、兵士たちの朝飯が終わったら、セレンと支度をしてエルヴァスティ領の自宅を経由し、首都へ入る予定だった。

 明日、十二の騎士団が集まる定例議会がある。団長以外の騎士で成果のある者以外は全員参加というわけではないが、おれは招集がかかっていた。普段は報告書を持たせた伝令兵しか出さないから。

 アンナは一瞬暗い顔になったが、覚悟を決めて切り出す。

「テオセアでも、タハティラでもないところの森から……。たぶん、人間は〝聖域〟って呼ぶところ」

 一度そこで言葉が区切られた。従業員がのんびりとした口調で「お先にサービスのコーヒーどうぞ~」と、二杯分のカップを持ってきたからだ。

 窓枠の外でヒバリが鳴いている。二羽になった小鳥はやがて飛んでいくだろう。コーヒーの水面(みなも)にアンナの目元までが静かに映り込む。黙ってしまうと、そのまま溶け込みそうだ。

「聖域……について教えてくれ」

 おれは初めて聞いた――いや、存在することを、初めて知った。おれは狼の群れとともに生のほとんどを過ごし、群れが潰えたときに人間に見出された。何かについてよく知らないのは、まだおれも同じのようである。

 熱いうちにコーヒーを一口飲むと、アンナがぽつぽつと事情を話し出すまで、時間はそうかからなかった。

 宿屋の出入口の戸を軽快に開く、最近よく見かけた誰かさんが入ってくるまでには、話を聞き出し切れなかったな……。

 新しい客の姿は、ここ数日で年季が入って仕上がった外套に身を包む、風に吹かれて毛先がフワフワと浮かんだ金髪で。おれとアンナを見かけるなり「あ!」と。なんでもう来ているんだろう。

「あ、昨日の子……?」

 そうだ。ギルベルトというんだ。同い年だから、仲良くしてやってくれ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ