路上 海
路上に冷たい雨が降る
心に悲しい雨が降る
その日の朝は晴れていた
けれど別れがやってきて
僕の心を水浸しにした
出会いと別れ、繰り返し
人は成長してゆくけれど
別れの後のさびしさは
どうにも一人じゃやりきれない
家に帰って別れの酒を
一人でちびちび飲んでいると
別れた人が浮かんできて
心残りの思い出す
海を見れば私の心は騒ぐ
波が打ち寄せる中、はだしで
足の裏に波と砂とを感じる時
母と一緒のときのように安心する
懐かしいあの女に似た
海のざわめき
その女を求め
私は海に入り波をかき分ける
かの国へ
わだつみの国へ
私の心はそこへ急ぐ