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ミモザ〜秘密の恋〜  作者: 夜影 月雨
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幸せの雨

 初めて彼女とキスを交わした日から約2か月がたとうとしていた。


そこからというもの二人で仕事以外で遊ぶことはなく、キスしたこともお互いに触れることもなく仕事での関係が続いていた。

お互い口にせず表情でも出さないようにしていたが、俺の心の中では罪悪感やとまどいより彼女に対する思いが日に日に募っていた。


今日も休憩中にタバコを喫煙所で吸っていると、仕事を終え着替えた彼女が現れてきた。


 小春「海さんお疲れ様です。今日もカップラーメンだったんですか?」


心配そうに彼女は俺にそう言う。しかも俺が昼にカップラーメンを食べてる事を知ってたんだと思った。


 海「そうだなあ。なかなか皆忙しいし、俺もカップラーメンだったら安く簡単に食べれるしね」

そう。彼女の前でなるべく妻の話はしたくなかった。仲が良い夫婦ではないが、妻の話をして避けられるのが嫌だったからだ。


 小春「そうなんだ。だったら今度の水曜日私休みで、海さん仕事でしょ?昼ご飯作るんで家に来てください」

と言われた。


少しいつかはこう言ってもらえないかなと期待していた自分がいたからそこまでビックリすることはなく、すぐに行くとを決めたのだった。

久しぶりに暖かいご飯が食べられる。しかも手作り。最高~。と気持ちをルンルンにしながら2日後の水曜日を楽しみに待っていた。


そして念願の水曜日。午前中の仕事を過去最高の効率の良さで終わらし、やっとの事彼女の家へたどり着いた。

彼女の家の近くには知り合いも数人いる為、近くのコインパーキングに車を停めて行った。


初めての彼女の家。


入りたい気持ちもあったし、入りたくない気持ちもあったし、もし万が一旦那さんが帰ってきたらとゆう不安感がつのるまま俺は家のチャイムを鳴らした。

 ドアが開き、彼女の顔を見た瞬間、なんだか悲しそうな顔に俺は思わず彼女を抱きしめた。


そして彼女も俺を抱きしめた。


まさか彼女を抱きしめてしまうとは思わなかったがあのキスの日以来、二人だけの空間になることはなかったからその思いが一気に爆発してしまったのだ。

彼女が俺の腰に手を回してきた時同じ思いだったんだなと確信に変わった。


なんなんだろう。抱きしめる感覚って本当にわからなかったけど、何かわかった気がした。


 「ちょっと。強いよー。ご飯できてるから中に入ろっ」

と彼女の手が俺の手を優しく包み込み、中に入る。


リビングに入ると、本当家庭的で男の目から見てもわかるぐらいに生活感に溢れていた。

と同時に嫉妬心も沸いてきていた。やっぱりこの感情は家に入る前から気づいていたけど、どうしても湧き出てくる。


 「海さんの好きなトンカツ作ったんだけど食べよっ」

俺の感情に察した彼女がお茶を用意しながら言った。


テーブルに用意された、料理を見ると、トンカツだけでなく、ポテトサラダ、みそ汁、ミニトマトとあり、普段単品でしか食べない俺には実家に帰ったかのような気分になった。


 「あるもので簡単に作ったから」

って言ってたけど、その言葉が一番男には最高の言葉だよな。


いざお昼ご飯を食べると向かい合って座るのではなく隣に座ってくれた。

トンカツにつけるソースも前に置いてあったボウルからとってくれて、

「こんぐらい?こんぐらい?」

とかけてくれた。


取り分けてくれるために隣にわざわざ座ってくれたのか。

そういう気遣いができる彼女である。



彼女のおもてなしと最高の料理を味わった俺。あの時はホントに幸せだった。あの時は。


 ご飯を終えソファーに座ってから15分程時間がたち、彼女の可愛い癒される話は相変わらず続く。同じ同僚の人がどうとか、この前行った雑貨屋さんがどうとか。すごく可愛くて楽しそうに話してくるから聞いてしまう。

すると曇りだった天気から変わり雨が降り始めた。



実は俺は雨が好きである。



雨の降り始めのアスファルトの匂い。なんか哀愁な感じがして好きなんだ。

その事を彼女に言うと、一緒の意見だった。雨好きがここにもいたかと思っていたら


 「しかも雨だと太陽が雲で完全に隠れちゃうからね。。。」

って彼女が小さい声でゆっくりと言い俺の顔を見てキスをしてきた。

 またこの頭がぼーっとするこの感じ。なんだろう。全てを忘れてしまうもう他の事がどうでもよくなってしまうこの感じ。

俺は勢いが止まらず。彼女を抱きしめ、スカートの中に手を入れ、服を脱がし、彼女とソファーで身体を重ねあうことになった。



全部が欲しくなった。



この先壊れてしまうことなんか気にもせず。少ない時間で愛しに愛し合ったのだ。


雨はだんだんと強くなってきていたが、わずかな雲の隙間から日が微かに差している。


この時からお天道様は俺たちのことをしっかりと見ていたのだろう。

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