アゼルの守れれし秘宝4
~貧民街~
貧民街。ここは、華やかなカジノの隣にあって、落ちてしまった奴らが集まる場所だ。
人が集まれば必ず成功したものと失敗、騙され、落とされたなど格差が産まれる。アゼルの街もその例外ではなかった。
上下水道の水路の下流。これは上流から流れるゴミや排泄物で不衛生な環境になりやすい。好んで住みたい場所では無いだろう。
貧民街は密集した町が多く日当たりが悪い。ジメジメとした湿気に悩まされがちで、これもまた好まれる場所ではない。
カジノの華やかさのすぐ傍にありながら、庇護を受けられずに危険を伴う場所がここである。
冒険者たちはカジノを後にすると二手に分かれた。レゴシ・カイン・したっぱの3人、ネロ・シャルロット・ガンダルフと先ほどと同様の別れ方だ。
ガルドに目がくらんだカジノの男はガンダルフを相手に完膚なきまでに叩きのめされた。男はプレッシャーをかけようとしたのだろう、自身満々にダイスを振ると1と2 併せて3である。
もはやこれは投げる前から決まってしまったのだろう、男はガンダルフがダイスを振る前から呆然。そしてガンダルフがピンゾロを出すのを願ったが結果は5・6 併せて11である。
どちらが先に振ろうが結果は変わらなかったのだろう、金に目がくらんだ奴の末路など大抵は負ける、ただそれを証明しただけである。
さすがにオーナーである男は駄々をこねるわけでもなく情報を開示する。
・シーザーと思われる奴が背中に大きな荷物を持ちながら入ってきた。
・仲間にそれを追わせている
・いつもと何か違う様子で受け答えがおかしかった
・家に帰った後だろう、早朝ではなく日が昇ったぐらいの時間
ガンダルフ達は貴重な情報が"タダ"でもらえたとうこともありホクホク顔でカジノを出ていった。それを見送る男の眼には恥ずかしげもなく涙が流れていた。
レゴシ達がシーザーの行方を追っている、手持ち無沙汰になったということもあり3人と別れたガンダルフ達はマーキングの魔法を付与した硬貨の行方を追った。
反応をたどっていくと貧民街に入っていく、路地では昼間にも関わらず人が寝転がっている。死んでいるのか、眠て寝ているのか、身ぐるみはがされてたのか、そんな人たちがぽつぽつといる道を歩く。
そして反応が強くなっている場所にたどり着くとそこは古ぼけた民家だった。周囲に何か特徴もあるわけではないが人が出入りしているのか、真新しい足跡が玄関へと続いていた。ここで間違いないことを確認した3人は扉を開く。鍵は開いていない。
「子供だったから鍵、かけ忘れちゃったのかなー」
「それもあるだろうが、見張りもいないってことは・・わからないよう細工してあるのか」
「中は・・誰もいないようね、誰か来る前に探ってみましょ」
3人は部屋を捜索するが何もない、子供たちがいるわけでもなく声も聞こえない。しかし魔法は反応している、自分たちが立っている下の方に。
「下にいるな・・だが・・階段はない・・どこかに階段があると思うんだが・・」
辺りの床を調べたが階段らしきところはない、タンスの裏に入口でもあるのかと思ったが子供だけで動かせるものでもないだろう。子供が入れるような場所を調べているとある場所でネロは止まった。
「多分・・ここじゃないかな、