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アゼルの守られし秘宝1

~希望の架け橋亭~



「はぁ・・・はぁ・・よかった・・いた・・」


男は走って来たのか息が荒いままに探していたと思われる冒険者に声をかけた。


「ど、どうしたんですかこんな朝早くから?」


リカントのレゴシはいつも通り腰の低そうな声で男に返事をした。


「君たちに騎士団から招集がかかっている、至急騎士団本部まで一緒に来て欲しい、どうか頼む!」


招集という言葉にレゴシはビクッとしたが話を聞くとどうやら悪事をして詰め所に連行されるわけではないらしい。




「皆さん、どうしますか?」


レゴシは同じテーブルについている5人の冒険者に聞いた。


「はいは~い、報酬は5000ガメルぐらいもらえますか!?」


「5000ガメル!?い、一応騎士団からそれなりの褒章を渡すというのは確認している」


人間族の子供のようなグラスランナーであるネロは褒章という言葉に満足したのか鼻歌を歌いながら騎士団へ行く準備を始めた。


エルフのガンダルフ、リルドラケンのおやびん、人間族のしたっぱは特に反対する必要もないようでネロと同様に準備を始める。


メリアのシャルロッテは「なんで最初に聞くことが報酬なのよ・・」と言っていたがしぶしぶ他の5人と同様騎士団へと行くことを決めた。


彼らが準備をしているとキッチンにいたコボルトのシロが声をかけてきた。


「お前たち、急いで行かないと思った以上に大変なことになる、早く行くんだ」


シロに急かされるように希望の架け橋亭を出されると、最後にいた騎士団の男とシロは目が合う、シロは黙って頷くと男は深くお辞儀をすると冒険者の後を追いかけるように出て行った。










~騎士団本部~


男に連れられ彼らは騎士団の本部に着いた。

彼らは以前ここに立ち寄ったことが何度かあるが、その時とは違い空気が重苦しく張り詰めたような感じがする。


男は扉の前でノックすると「入れ」との声が中から聞こえた。


中に入ると団長のオリバーと副団長のヴィクターが待っていた。


「急いで来てもらってすまない、すぐに対処しなければならなくてな、ヴィクターすまないが席を外してもらえないか?」


「団長、この冒険者達に例のことを調べてもらうんですか!?」


「ああそうだ、時間がないんだ」


ヴィクターはオリバーからそう言われると敬礼をし、部屋の外へと出て行った。


「君たち、守りの剣がこの町にあることは知っているか?」


扉が閉まるとオリバーは冒険者たちに聞いた。


「あ、兄貴、守りの剣ってなんッスか?」


したっぱがカインに聞いた。


「守りの剣っていうぐらいだから騎士団が偉い人からもらった剣のことだろう?」


「さっすが兄貴!物知りっスね!てことは大事な剣なのに騎士団は盗まれたって事っスね!」


「ガハハ、騎士団はマヌケだな!!」


二人はオリバーを指さし大笑いをしていた。


「マヌケはお前らだ・・守りの剣は主に教会が保持しており、蛮族などが周囲に入れないよう毎日細かく砕いた剣のかけらを触媒にし守りの剣の浄化作用を使い結界を張っているのだ。これが無いと蛮族が簡単に町に入ってくることになるぞ、確かこの町には教会が1本所持しているのを聞いたことがある」


知識の探究者であるガンダルフは呆れつつもスラスラと答えた。


「そうだ、この町には1本の守りの剣があり、君たち冒険者が見つけてきてくれる剣のかけらを使い町を守っている」


「あ~・・これなんか話が見えてきたー、聞きたくないから帰っていいかな~?」


ネロはそういうと扉を開けようとするが先ほどヴィクターがカギを閉めたようで開くことはなかった・・・





「ネロ、察しがいいな、そうだ、その守りの剣が夜分遅く、何物かに盗まれてしまったんだ。」


・・・


一同は黙り込んだ。


数秒後



「さー拠点を移してアデルともオサラバしよっかーちょっとガンダルフ、扉から出たらアンロックかけるの忘れないでね」


「そうだな、ハーヴェスト王国に移すのもいいかもしれんな、根源たるマナよ・・・」


「ちょ、ちょっと二人共助けようと思わないんですか!?」


レゴシは意気投合し脱出を図ろうとしているネロとガンダルフをなんとか説得した。


「はぁ・・まぁいいわ、それで、守りの剣を探して欲しいってわけね、で剣は元々どこにあったのか教えなさいよ」


シャルロットは腕を組みながら若干偉そうにオリバーへと詰め寄った。


「ああ、君たちに守りの剣を探して欲しいと依頼をしたかったんだ、守りの剣が元々あった場所は教会の神殿地下だ。昨日神殿で警護をしていたシーザー、サイモンの2名が昨夜から姿を消していてな、神官が不審に思って守りの剣を確認しに行ったら剣が何者かに盗まれてしまった教会から報告が来た。」


「じゃあまずはライフォス神殿に行って調べろってことね」


「ああ、そうしてくれると助かる、あと穢れを持つ蛮族の者たちには違和感があり気付かれているかと思うが町の人に気付かれないように行動してほしい。」


一同は騎士団本部を後にし神殿へと向かった。









~ライフォス神殿~


神殿へと入ると騎士団からの知らせがあったのか慌てて神官長が迎えてくれた。


「冒険者の方々、このような事態になりご迷惑をおかけして申し訳ありません」


神官長は沈痛な面持ちをし冒険者に深々とお辞儀をした。


「そんなことはいいわ、早くしないと大変なことになるみたいだから剣のあった場所に案内して頂戴」


「わかりました、こちらへついてきてください」


シャルロッテはすぐに剣のあった場所へと案内するよう神官長に言う。


彼は軽く頷くと冒険者達を引き連れ歩き始めた。



太陽の光が遮ることのない庭園がある広場を抜け、大きな扉の前に着いた。


「こちらの先にある広間は始祖神ライフォスの像を祀ってあり、信仰の儀式で使う場所になります。」


神官長は扉の鍵を開け中に入ると冒険者達も続いて中へと入る。


広間には神官長の言う通り始祖神ライフォス像が広間の中心にあった。


神官長は像に向かって祈りを捧げる。


冒険者たちの中でもレゴシ、ガンダルフ、シャルロットは信仰心があるようで同様に祈りを捧げた。


祈りが終わると神官長は立ち上がる。


「皆様、これ以降は神殿の機密情報となりますので見たこと、聞いたこと、行ったことは他言無用でお願いいたします。」


神官長はそういうと始祖神ライフォス像の後ろへと回る。


そして冒険者達に見えないよう体で像の後ろを隠すとガコッという音がする。


すると像がゆっくりと前へと動き出した。


像の動きが止まると像のあった場所の下にはぽっかりと大きな穴が開いていた。


「こちらが守りの剣の保管場所、結界を行使する部屋になります。ここに入れるのは私たち神官の他には数年前から務めているシーザーとサイモンだけになります。その為二人が朝から戻らないということは二人が何かしら問題にかかわっているのかと思いますので下の調査をお願いいたします。」


そう言われるとしたっぱが下をのぞき込む。


「ん~、これじゃあ見えなくて下の様子がわからないっスね」


そう言ったしたっぱをガンダルフ後ろに下がらせ中をのぞいた。


エルフは暗い場所でも良く見える為、じっと中を覗き込んだ。


「特に下には何もないな・・だが全員が暗視を持っていないなら・・灯りよ……」


ガンダルフは短くライトを詠唱する、すると杖の先から灯りが出現し穴の中へとライトを誘導した」


「ネロ、先に行って中を確認してきてくれ」


「はいーじゃあ先にいくね!」


ガンダルフはネロに先導を頼む、颯爽に先へ進む彼の後ろを追いかけるようにして冒険者たちは穴を降りて行った。


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