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転移された場所はどこかの海岸だった。
「ここなら試し放題だろうし、攻撃魔法ならダイナマイト漁法だってできるよ。」と笑顔で話してくれた。
ただ…それ禁止だしむしろ私達は釣りしに来たわけではない。
「どーんと1発!攻撃魔法で釣ってよ!」
いやだから釣りしに来たわけではない。
とはいえ杖を使いに来たわけですし、一番杖の力を発揮するのが私の場合火を使った魔法。とりあえず軽く1回回りの生態系に危害を加えない程度に使ってみる。
『…ドガーン!!』
遠くの方で水柱が立った2秒ぐらい後に爆発音がした。
力加減間違えたかな…?
「紗奈ちゃんどれぐらいの魔力使った?」
「ん?軽くスナップを効かす程度に。」
「んー。じゃああたしの魔力の配分ミスだね。ちょっと入れすぎちゃった。」
入れすぎたという割には近くに雷が落ちたような爆発音だったぞ。
彼女はテヘペロと言いながらハハハと誤魔化していた。
「ところでどう?試し打ち。」
「軽く振っただけでこんなに強くなるとは思わなかったよ。今使ってる杖とは全然違う。」
爆発音は想定外ですが。
「ただちょっと手持ちが滑るかな。もうちょっとグリップ効かせてくれる?」
「了解。ちょっと貸して。」
さっきのダイナマイト漁の少しおてんば娘が『直して』と言った瞬間真剣な眼差しで魔法と工具で慎重に直してる。ONとOFFがしっかりしてるのは見習いたい。
「うん。ど?ちょっとやってみてー。」
その言葉に私はもう一度受け取りスナップだけ効かせて次に振ってみる。
えらくいい具合にフィットした。逆に気持ち悪いくらいに。彼女の技術は天才だ。
その気持ちを受け取ったのか彼女は『どうよ!』と言わんばかりにグーサインを出した。
「じゃあ帰りますか。帰ったらサインお願いねー。」
そして私達はさっき使った魔方陣に乗り元の家へと戻った。