騎士団にて6 打ち上げ
「やっと着いたぜー。こっからは徒歩な。エスコートしようか?はい、お手をどうぞ、リタちゃん。」
「ありが「お前は護衛の練習をすべきだな。はい、顧問守護官殿、お手を。」
またもやルークに割り込まれ、護衛の練習と言われては言い返せず、ジルクはキィーーと地団駄を踏むのだった。
「手が塞がるのは苦手なので、腕を絡めさせていただいても?」
「ええ?!あ、はい!もちろん!」
リタの申し出にルークは意外にも動揺した。お互いの体があまりにも近く、騎士団長の服を脱いでいるのも相まって、余計に照れてしまう。
「それに、顧問守護官はもう終わりました。どうぞ、リタとお呼びください。」
「リタ……殿」
「リタ、ですよ」
「リタ……さん」
「ルーク?」
いつぞやのお返しと言わんばかりに粘るリタ。
「!!!……リタ」
「良くできました。ふふふっ」
騎士団長の貫禄はいずこへ。しきりに照れながらリタの名前を呼ぶ様子はもはや恋する少年だ。
「うわあああああ!!!ずるいいいいー!オレもーオレもー!」
「護衛がそんな状態では務まらんな。こっちを見てないで先を歩け。」
「オレがリタちゃんを誘ったのに!団長のバカ!婚期が遅れても知りませんからね!あ、たとえ団長と言えど、リタちゃんはダメです!オレのですから!」
「いつから私はジルクにものになったのよ!それよりジルクはルーク様の、この紳士的な態度を見習ったほうがいいんじゃない?」
「リタ、ルークで良いですよ。」
「これのどこが紳士的なんだよー!リタちゃん騙されてるってえ!」
うだうだ言いながらもしっかり前に立ち、先導してくれるあたり、やっぱり仕事には真面目なのだな、と少しジルクを見直した。
お店に到着すると、そこには既に宴会を始めていた騎士達がいた。
「貸切にしたんだ!さあ、団長もリタちゃんも座って、座って!こらーお前ら!リタちゃんまだ来てないのに先に始めやがったな!帰ったら全員腹筋100回だ!」
「「「イエーーイ!!!」」」
あ、そこ盛り上がるところなんだ?
楽しい空気に囲まれて、リタはルークに絡めていた腕に力が入り、ギュッとルークの腕に抱きついた。
「ルーク、座りましょう?」
そう言ってルークを席に引っ張る。
「うっ!!はあ……酒が入ったら堪えられるか分からないな」
「何か言った?」
「いえ、なんでもないですよ。座りましょう。」
リタとルークが席に座った途端、団員達がリタの周りを取り囲んだ。
「リタさん!これ見て下さい!すっかり良くなりました!」
「僕もだよ、ありがとうリタさん!」
「ヒャッフー!さっすがワイの惚れた女だぜイェーーイ!!」
すでに皆出来上がっている。
こうして夜は更けていった。
・・・
いよいよ帰る当日になり、リタは朝からルークの執務室に訪れている。
「それじゃあ、ルーク、ジルク、この一週間とってもお世話になりました!ありがとうございました!」
「こちらこそ、騎士団の面倒を見てくれてありがとう、リタちゃん!また絶対来てくれよな!」
「リタ、本当にありがとうございました。書物伝令をたまに送っても良いですか?」
「もちろんです!私も書きますね!それに、今回のこれで皆全快したとは限らないので、また何かあったらいつでも連絡下さい。」
「ああ、その時はまた頼みます。」
「じゃあ、そろそろ帰ります!ありがとうございました!」
「リタちゃん馬車は大丈夫?」
「うん!もう魔力操作はお手の物なの!自分で飛んで帰るわ!」
「分かった。出口まで送るよ。」
「私も送りましょう。」
2人にお堀の門番まで送ってもらい、リタは4枚の羽を大きく広げた。
「じゃあ、またね!」
「気をつけて帰れよー!伝令送るからなー!」
「リタ!楽しかったです!ありがとうございました!」
手を空から大きく2人にむかって振ると、なんと騎士団の各棟からチラホラと、リタに向かって声を上げてくれている人たちがいた。
「またおいでー!」
「リタさんありがとうー!」
「楽しかったよー!」
「気をつけてなー!」
皆それぞれリタの帰りを名残惜しんでくれている。
感極まったリタはその気持ちを表現すべく、前世で一番好きだった光景を作り上げようと両手を胸に添え、手のひらに魔力を込めた。
『いでよ、七色の虹!!』
詠唱と同時にリタの手のひらからパアっと大きく光の粒子が空気中に広がり、王宮全体に大きな虹が上がった。
ワアアアアアアア!!!!!
空からでも聞こえるほどの歓声が上がり、リタは皆に手を振った。そして満足したリタは、王宮に背を向けてその場を飛び去る。
クロリア地へ帰ろう、レイズが待っている。
その日のアメリゴ都市新聞で、王宮に神の祝福があったと報道されたのをリタは知らない。
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