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騎士団にて1 情報共有

「リタちゃん久しぶりぃ!元気してたー?」


今リタがいるのは騎士団の宿舎の目の前で、ジルクにリタが泊まる部屋に案内してもらったところだ。そこにリタは荷物を置かせてもらう。


ジルクから書物伝令を貰ってから3日後に行くと返信してから、1週間不在にできるよう、補佐の仕事を片付けて羽で王宮に向かった。流石に毎日のように魔力操作をしていると慣れて来て、適切な魔力の量に羽をコントロールすることができるようになっていた。


午前中の昼前に関所を無事に抜け、お堀の前に降り立った時は門を守っている騎士達が少し慌てていた。ジルクに呼ばれたと伝えると、すぐジルクが門まで迎えに来てくれて、早速案内を申し出てくれたのだ。


「ジルク、久しぶり!あれ?ジルクも騎士団に入団しているの?」


ジルクは歩きながら話そう、と場所を宿舎から移動した。


「ああ、そうだぜー。前回は休みの日だったからあんな格好だったけど、普段は騎士団の服を着ているんだ。」


「やっぱりジルクも魔力値高いの?」


「普通の人族に比べたら高いほうだけど、それでも普通の魔族や妖精族レベルだなー。リタちゃんには完全に魔力量では負けるね。」


「そうなんだ?ところでこの間、お婆さんに話を聞いてきたよ!」


「お!何か進展あった?」


「実は私お婆さんから買った針持ってるの。ジルクに会う前から持ってた奴なんだけど、この針に副作用があるってことぐらいかな。」


「特殊な魔道具であれば付き物だな。問題の魔道具の副作用は何か聞けたか?」


「ううん、お婆さんにも特定は出来ないみたい。使用者の魔力に左右されるってさ。」


「なるほど、厄介だな。」


「うん。だから私の針と併せて色々話は聞けたけど、もう騎士団にも伝えたって言ってたし、その他これといって提供できる情報は得られなかったよ。」


「っていうか、リタちゃんあの婆さんが売ってる針使えるの?」


選り好みの激しいあのババアの?と中々失礼なことを言っているが、そう言われても仕方ないところはあるのでスルーした。


「うん!私の唯一の武器でもあるからこうして手袋に装備してるよ。だから今問題になってる防具もなんとか出来るかもしれない。」


「すげえ!百人力だな!丁度防具も見てもらいたかったんだ!こっちの倉庫に保管してあるから、騎士団と王宮魔術士に挨拶してから案内するな!」


「了解しました!」


「じゃあまずはこの部屋からな。団長、ジルクです、挨拶に来ました。」


コンコン


ジルクとリタは宿舎とは別の棟にある騎士団長の執務室に来ていた。


ノックすると厳格そうな声が返事をした。


「入れ。」


「失礼します。」


僅かに緊張した声をジルクが発すると、ドアを開けて入室した。その後ろをついてリタも入室する。


「ご紹介いたします。この者が王命を授かったリタ・サルヴァドールです。」


「リタ・サルヴァドールと申します。よろしくお願いいたします。」


恐る恐るカーテシーを繰り出すと、騎士団長は唇の端を狡猾そうに歪めた。


「ネクロマンサー補佐として人族の元で働こうなど変わった妖精族もいたもんですね。私が騎士団長のルーク・キシエーレです。」


リタを怯えさせないように、敬語で穏やかに話しかけてくれるあたりに優しさを感じる。


騎士団長なのに意外と若い見た目のルークにリタは少し親近感を持った。きっと団長の上にも更に上官がいて、中間管理職の立場なのだろう。そうは言っても騎士団長である以上、戦になった時隊を率いるのはこのルークだ。


恐らく33ぐらいではあるが、既に貫禄はザ・厳格管理職で、かなり鍛え上げられている体が服の上からでもありありと分かる風貌をしている。髪の毛は茶色で目はヘーゼルの鋭い目を持っている。


「リタはあの婆さんから買った針を持っているそうです。騎士団員と顔合わせ後、防具の整備と侍女の仕事を頼む予定ですが、よろしいでしょうか?」


「そうなのか?それは好都合だな。ネクロマンサー補佐であれば裏切りの心配も少ない。それで良い。進めてくれ。」


「はっ!承知いたしました!それでは失礼いたします!」


ジルクが騎士の礼をしたのを見て、リタもカーテシーをしてから扉へ退室に向かった。


少し後ろが気になってチラッと背後を見ると、厳しい顔をしていたはずの団長はその顔から作られたとは思えないほど優しそうな微笑みをたたえていた。


その余りにも甘い表情にリタはドキッとしてしまい、慌てて焦りながらも会釈したが、表情を見られたと気がついたルークは途端に眉を顰め、難しい表情に戻ってしまった。


パタンとドアが閉められると、一番焦っていたのはルークだ。


「え?なんだ今の妖精族は?あれがネクロマンサー補佐?綺麗な子だとは聞いていたがネクロマンサー補佐のイメージが強すぎて全然思っていたのと違うぞ!……あの子がいる間だけ休憩にお茶持ってきてもらおう……」


そう言った後で、騎士団員が聞いたらあの鬼団長が、と口を揃えて言いそうだと思ったルークは、また難しい顔に戻って執務に取りかかった。



「ひえーこええー!今日なんか機嫌悪かったし!」


「そうなの?最後はすごい微笑んでたよ?」


「ええ?!ないない!リタちゃん緊張しすぎて幻覚でも見たんじゃない?鬼団長だから!めちゃくちゃ厳しいからあの人!」


「えー?そんなはずはないと思うけど……それで、次は騎士団員との顔合わせだっけ?」


「そうだよん。顔合わせっつっても、演習眺めて貰うのと、例の防具をつけていた騎士が何人かいるから、ちょっとそいつらの様子も見て欲しいかな。」


「分かった。最近針が医療目的でも使われてるって聞いて、何か出来ないか特訓してたの。それを試す良い機会かもしれないね。」


「へえ、勉強熱心だね。オレ頑張り屋さんは好きだなっ。どんなことしてたの?」


深い意味はないのだろうが、さらっと誤解されそうな事を言うあたりが侮れない。


「んん!」


わざとらしく咳払いをして、勿体ぶった言い方でリタはその疑問に答えた。


「後で見せてあげる」

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