ところが、涼の前に超美女が!
おっとり加奈子は、お目当ての涼に声をかけた途端、立ち止まってしまった。
「涼くーん!」
なにしろ、加奈子以上に大きな声で、涼に声がかかったのである。
しかも、声をかけた主は、四年生のピアノ科、有名新聞社主催のコンクールで上位入賞が確実視されている真緒だ。
とにかく服装と言動は派手目、かなり美人、スタイルはモデル並み。
これでは加奈子でなくても、ちょっと引く。
しかし、今はその真緒は、加奈子のお目当ての「涼君」と話をするようだ。
結局自分の声が届かなかった加奈子は、「遠目」から真緒を涼の雰囲気を、それでも観察。
加奈子
「うーん・・・親密って感じもないなあ」
「でも涼君も全然、引いていない」
「なぜかなあ」
「単に話しているだけみたい」
「ひっそり涼君と派手目のエリート真緒さん、変な組み合わせだ」
「・・・って・・・そういう状態じゃないでしょ!今の私って」
と思っていると、涼と真緒の話は終わったようだ。
真緒が
「じゃあ、涼君、よろしく!」
といつもの感じで、派手目に合図をする。
涼は
「うん」
とだけ、いつものヒッソリ感が漂っている。
加奈子は思った。
「涼君、あの態度では、真緒さんが可哀想だ」
「ヒッソリ涼君は、影が薄い涼君になった」
しかし、加奈子は、思い出した。
涼に声をもう一度かけようと思った。
そして、やはり咳払いをしてから
「涼君!」
さっきより大きめな声。
上手に甘い声を出すのは、失敗した。
でも・・・
涼は振り向いた。
「あ!加奈子さん!」
しかも、珍しくニッコリ笑っている。




