白昼夢☆そんで、おいらはピエロ
俺はなあ、赤鼻でも
鼻は伸びねえ
ピノキオとは違うんだよ
イタリア系のマザコン連中とはわけが違う
母ってやつを知らない、これが俺の強みだ
生まれた時からストリートで生きてきた
だからよ、道化は道化でも
道楽でやってるんじゃねえ
三つ葉のクローバーも四葉のクローバーも
興味ねえ
わかるか?
運に見放された俺はラッキーってこと
運が俺を試すんじゃない、
俺の芸が運を試すのよ!
雑魚どもまとめてかかってこい!
゜・*:.。. .。.:*・゜
「ここに三つ葉のクローバーがあります
これに手をふっとかざすと
あら不思議!
四葉のクローバーになりました」
「ねえ、ジャン、
もしわたしがただの三つ葉のクローバーでも
愛してくれる?」
「愛するよ 必ず見つけだしてみせる
君の幸せが僕の幸せさ」
゜・*:.。. .。.:*・゜
「ジャン、私の家の事情で急に嫁ぐことになったの」
「ジャン、さよなら、元気でね!」
「待って!マリー!行かないで!」
ジャン☆G☆ピエロ「…‼︎また同じ夢か…」
ジャンはソファから身を起こして洗面台に向かい顔を洗った
ひどいクマを隠すようにドーランを塗り始めた
AM10:00 レッドブル軍団の基地
レッドブル大佐「シャークからそれとなく伝えてくれ」
シャーク少佐「はい、探り入れてみます」
レッドブル大佐「あいつはああ見えて繊細だからな、
自然に、だぞ」
ジャンは基地の隅の古びたソファに腰掛けナイフを磨いていた
シャーク「コホン、よお、ジャン!」
ジャンは明らかな睡眠不足と悩みを抱えている様子だった
ジャン「へい!鮫肌の兄い、いつものやりやすか?トランプトランプ♬」
シャーク「…ジャン、言いたくないがお前指が怪我だらけじゃないか
痩せたようにも見えるし、
悩みがあるなら…」
ジャン「違いますよ!新しい技でちょっと苦戦してるだけっすから!」
シャーク「おまえとは長い付き合いだ、
呼吸でわかるんだよ、スランプだ、
そのあれだ、芸の練習もほどほどに
2週間ほど休め
その間にスランプから抜け出せ」
ジャン「ちぇっ、偉そうな兄い」
ジャン☆G☆ピエロの屋根裏部屋
PM15:00
ジャン「イタリア人みたいに昼寝ばかりもなかなかできねーな」
ジャンはテレビのチャンネルをあちこち変えてぼんやりしていた
ートランジスタショッピング‼︎ー
マジカルクリーナー‼︎
これで家中ピッカピカ!
これで消えないものはありません!
ジャン「ほんとかよ、嘘こけ」
ー主夫の園芸ー
シュプリームダストの収穫
ここでは繊細な作業が求められます
男手だからと馬鹿にされてはなりません
綺麗に摘んであげることが重要です
来週は菜の花特集からお送りします
゜・*:.。. .。.:*・゜
「菜の花、この鼻、ジャンの鼻!」
マリーはジャンの鼻をつまむのが好きだった
゜・*:.。. .。.:*・゜
「…行ってみるか」
どのくらい坂道を登っただろう
ジャンは汗をかいてドーランが少し剥げていた
坂を登りきると目の前には
あたり一面に広がるクローバー畑
それと混じり合うように菜の花が咲いている
向かいに一軒のトルコブルーの家
菜の花よりも少し高い背丈の男の子が
ジャンをみつけた
男の子「わ!ピエロ!しかもこわい」
ジャン「こわくないさ、ピエロはいつも陽気!」
ジャンはお得意のジャグリングを披露した
男の子「わあ、すごい!」
無邪気に笑う男の子の横顔はギリシャ人を思わせる
端正な顔立ち
それは確かにマリーの子だった
マリー「ジャン!どこなの?」
ジャン「…‼︎」
ジャン「しゃがめ!隠れろ!」
ジャンJr「なんで?僕のママだよ?」
ジャン「おいで」
ここに三つ葉のクローバーがあります
これに手をふっとかざすと…
あら不思議!
四葉のクローバーになりました
ジャン「はい、あげる」
ジャンJr「わあ!」
マリー「ジャン!お夕飯の時間よー」
ジャンJr「あ、ママがよんでる
おじさんありがと、
グラッチェ!チャオ!」
ジャン「チャオ」
寅次郎「…ミャオ」
ジャン「うわ!寅次郎いつからそこに?」
寅次郎「ずっと」
ジャン「猫が悪いぜ」
寅次郎「一杯おごるよ」
ジャン「よーし街まで競争だ!」
寅次郎「酒でも飲んで元気出せや!」
ジャン「ばーか!ピエロはいつでも陽気さ!」