だんご三兄弟⁈
清流館 PM14:00
平米(苔太郎の養父)「苔!おるか苔!」
苔太郎「はい、何ですかおとうさん」
「ひじり(養母)が緊急手術や、おまえも来てくれ」
苔太郎「子宮の腫瘍が暴れだしたんですか?」
平米「せや、何か持っていくものはあるか?
こないな時どないしたらええんや、わし不安で不安で」
苔太郎「おかあさんのことですから着替えやら
要るものは持って行ってはると思いますけど」
平米「病院ちゅうのはわし好かん落ち着かんのよ
ドモホルンリンクル臭うて」
苔太郎「おかあさんに怒られますよ?
ホルマリンですか⁈それもまた違いますけど
まあ、薬品の匂いがしますね」
平米「わし、もう家の神棚で祈っとくさかい
苔が側についとったってくれ」
苔太郎「そんな殺生な、行きましょうよ」
平米「わし…わし…」
平米は神棚の前で体を丸めて小刻みに震えていた
苔太郎は覆いかぶさるように平米を抱きしめた
苔太郎「簡単な手術て病院の先生も言うてはりました
きっと良くなります」
平米は泣いていた
ふたりは団子のようにくっついたまましばらく離れなかった
聖と動物園に行った時の話や苔太郎の幼稚園のお遊戯会の話など
くっついたまま話し込んでいた
平米「わしが入院したいわ」
苔太郎「何言うてるんですか」
聖「ただいま〜
松坂慶子が帰りましたよ〜」
聖「…あんたら団子みたいにくっついて何してますの?
迎えにもこんと」
平米「…‼︎聖‼︎…?そんなに時間経ってたんか?」
苔太郎「大丈夫ですか?タクシーで帰って来はったんですね」
聖「大丈夫、
スッとしましたわ
今日はお寿司とりまひょ
はぁ〜疲れた、やっぱり家が落ち着きますなぁ
…そろそろ離れたらどないどす、気色の悪い」
平米「聖、おまえもくっつこう」
聖「だんご三兄弟やあるまいに、
あほいいなさんな」
苔太郎「僕、お茶淹れてきます」
平米「わし、泣いとらんよ⁈」
聖「おおきに」
平米「だから泣いとらんって‼︎」